サービス業の組織がISO45001を構築する場合、「危険源の特定のイメージが湧かない」という方が意外と多いです。
そこで、今回は、「ビル管理業」について、危険源や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《“ビル管理業”における危険源の事例》
a. 高所作業による落下リスク:
窓拭きや外壁のメンテナンスなど、高所での作業中に落下するリスク。
b. 化学物質の取り扱い:
清掃作業や建物のメンテナンスに使用される化学物質による健康被害。
c. 電気設備の取り扱い:
電気設備のメンテナンス作業中に発生する感電や火災のリスク。
d. 滑りや転倒事故:
清掃中や機械の水漏れなどによる床の滑りやすさから生じる転倒事故。
e. 物理的負荷による筋骨格系の障害:
重い機械や器具の運搬、不適切な姿勢での作業による身体への負担。
《危険源に対する管理策の事例》
a. 高所作業の安全対策:
適切な落下防止装備の使用、安全ハーネスの着用、作業員への高所作業安全教育の提供。
b. 化学物質の安全な取り扱い:
適切な保護具(手袋、ゴーグル等)の使用、化学物質の安全データシート(SDS)へのアクセス、従業員への化学物質管理トレーニング。
c. 電気設備の安全管理:
電気作業に対する適切な訓練と資格の有無の確認、断路器や絶縁手袋の使用。
d. 滑りや転倒事故の予防:
滑り止めマットの配置、定期的な床の清掃と乾燥保持、適切な履物の使用推奨。
e. 筋骨格系障害の予防:
エルゴノミクスに基づいた作業方法の教育、適切な機械の使用での物理的負荷軽減、定期的な休憩の促進。
《ビル管理業に関連する法規制の事例》
「ビル管理業」に適用される「労働安全衛生に関する日本の法規制及びその他の要求事項」には、従業員の安全と健康を保護するための様々な規制が含まれます。以下はその具体例です。
a.労働安全衛生法(労安法):
労働者の安全と健康を確保するための基本的な法律です。ビル管理業においては、作業環境の安全性の確保、労働者への安全衛生教育、適切な保護具の提供、危険や有害な作業条件の評価と改善、緊急事態対応計画の策定などが要求されます。
b.労働基準法:
労働時間、休憩、休日、残業などに関する労働条件の基準を定める法律です。ビル管理業では、従業員の適切な労働時間の管理や休息時間の確保が求められます。
c.建築物清掃業務の安全衛生基準:
ビル清掃作業に特有のリスクを管理するための基準です。高所での作業、化学物質の使用、機械設備の操作などに関連する安全対策が含まれます。
d.消防法:
火災予防、火災発生時の対応、消防設備の設置と管理に関する法律です。ビル管理業においては、定期的な消防設備の点検や消防訓練の実施が重要です。
e.建築基準法:
建築物の構造、設備、使用に関する基準を定める法律です。ビル管理業では、建築物の安全性や適切な維持管理が求められ、この法律に基づく規制が適用されます。
《ビル管理業の緊急事態想定と対応手順の事例》
a. 高所からの落下事故:
直ちに救急処置を行い、救急車を呼ぶ。事故の詳細を記録し、原因を分析して再発防止策を講じる。
b. 化学物質による健康被害:
被害者を安全な場所へ移動させ、適切な応急処置を行う。必要に応じて専門の医療機関へ連絡する。
c. 電気事故:
直ちに主電源を遮断し、被害者がいる場合は救急処置を行う。専門家による事故調査を実施し、再発防止策を立案する。
d. 滑りや転倒事故:
事故発生時には応急処置を施し、必要に応じて医療機関への受診を勧める。事故原因を調査し、滑りやすいエリアの安全対策を強化する。
e. 筋骨格系障害:
作業員が筋骨格系の症状を訴えた場合、作業の一時停止と医療機関での診察を勧める。作業環境や作業方法の見直しを行い、再発防止に努める。
以上が、「ビル管理業」におけるISO45001に基づく危険源、危険源に対する管理策、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
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