2024年7月25日付の朝日新聞デジタルが、

『郵便事業は2年連続赤字、前年比4倍超の896億円に 日本郵便』

という見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を引用し、考察しました。

 

《記事の引用》※筆者が一部編集

日本郵便は、2024年7月25日、2023年度の郵便事業が896億円の営業赤字だったと発表した。

赤字は2年連続で、前年度の211億円の4倍以上に膨らんだ。

 

手紙の取り扱いの縮小傾向が続き、営業収入は前年度比5%減の1兆1896億円だった。

営業費用は賃上げを進める一方で従業員数も減ったことからほぼ横ばいの1兆2792億円だった。

 

日本郵便は、2024年10月に郵便料金を大幅に引き上げる。

だが、同社の試算では、値上げの影響を加味しても2025年度に一時的に黒字に転じるだけで、26年度以降は赤字が膨らみ続ける見通し。

郵便料金のさらなる値上げを迫られる恐れがある。

(記事の引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

〈郵便事業の公共性と国運営の必要性について〉

そもそも、“郵便事業は、民営化されるべきではなく、国が運営すべき公共サービスである”という意見があります。

この意見の理由について、以下に整理しました。

 

1)基本サービスの提供:

郵便サービスは、地域間の情報伝達を保証し、社会の基盤としての役割を担っています。

地方や過疎地でも平等にサービスを提供することが求められるため、利益追求を主目的とする民間企業による運営では、サービスの質が低下する恐れがあります。

 

2)アクセスの公平性:

郵便サービスは、すべての国民にとって平等にアクセス可能であるべきですが、民間企業が運営する場合、収益性の低い地域へのサービスが縮小される可能性が高まります。

これにより、特定の地域が不利益を被ることになり、社会全体の不均衡が拡大する恐れがあります。

 

3)持続可能性と安定性:

民間企業は市場の変動に敏感であり、経済的な理由から突然のサービス縮小や値上げを行う可能性があります。

国が運営する場合、政策的な判断に基づいた持続可能な運営が期待でき、長期的な視点で国民の利益を守ることができます。

 

4)全国一律のサービス品質:

国が運営することで、全国どこでも一定のサービス品質を保つことができます。

民間化された場合、利益追求から一部地域でのサービス低下が見られる可能性があります。

 

これらの理由から、郵便事業のような基本的な公共サービスは国による運営が適していると考えられています。

民営化が進められる中で、利益を追求することがサービスの質を低下させ、国民全体の利益を損なう可能性があるため、公共の福祉を最優先に考える国の管理下に置かれるべきであるとの主張が強いのです。

 

〈郵便事業の黒字化戦略〉

“郵便料金の値上げだけでは一時的な赤字解消にしかならない”との予測がありますが、現状を考慮すると、郵便事業の持続可能な黒字化には以下のような複合的なアプローチが必要です。

 

1)サービスの多様化:

電子通信の普及により従来の手紙の需要が減少しているため、パッケージ配送サービス、電子商取引の物流サポートなど、新たなビジネスモデルへのシフトが必要です。

また、デジタルサービスとの連携を図り、新たな収益源を開発することも考えられます。

 

2)コスト管理の強化:

効率的な物流システムの構築、無駄な経費の削減、最新技術を活用した運営効率の向上が必要です。

特に、配送ルートの最適化や自動化技術の導入により、人件費と時間の節約が可能です。

 

3)パートナーシップの拡大:

他の物流企業や国際郵便事業者との協業を模索し、大規模なネットワークを利用したコスト削減とサービスの質向上を図ること。

これにより、国内外の市場での競争力を強化できます。

 

4)政府との連携:

政府による補助金や政策的支援を求めることで、短期間の財政的負担を軽減し、長期的なビジネスモデルの転換を図ることが可能です。

また、政策提言を通じて郵便事業の公共性を再評価してもらうことも重要です。

 

これらの戦略を総合的に展開することで、郵便事業は新たな市場環境に適応し、持続可能な経営を実現することが可能です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ917号より)


 

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