ISOマネジメントシステムにおいて、「一時的サイト」とは、組織が限定された期間内に、特定の業務又はサービスを提供する場所で、常設サイトになることが意図されていないもののことです。
今回は、ISOマネジメントシステム審査において、一時的サイトの訪問の必要性や適切なサイトサンプルについて、考察しました。
《一時的サイトの訪問の必要性》
IAF MD5では、審査で、一時的サイトを訪問する必要性は、例えば、QMSの場合、「製品又はサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価に基づく」旨が規定されています。
以下に、QMS、EMS、OHSMSの場合について、考察しました。
1)「QMS」の場合:
QMSにおいて「製品またはサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価」とは、製品やサービスが顧客の要求や適用される規制要求を満たさない可能性の識別とその影響を評価することを意味します。
例えば、建設業で、特定の部品が設計仕様から逸脱していた場合、それが建造物の安全性に直接影響を与えるリスクがあります。施工プロセスでの品質管理の不備、原材料の不良、作業員の研修不足などがその原因となる可能性があり、これらは顧客満足度の低下、欠陥構造物の発生、企業の信頼性損失につながるリスクを高めます。
したがって、QMSではこれらのリスクを事前に特定し、適切な是正措置や予防措置を講じることが重要です。
2)「EMS」の場合:
EMSにおいて「環境側面及び影響の管理に失敗するリスクの評価」とは、企業の活動が環境に与える潜在的な負の影響を特定し、その影響を最小限に抑えるための管理策が不十分であるリスクを評価することを指します。
例えば、建設現場で有害な廃棄物を適切に処理せずに排出した場合、土壌や水質汚染のリスクがあり、これが周辺の生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、これは企業に対する社会からの信頼性の低下や法的責任を負うリスクにもつながります。
したがって、EMSではこれらの環境リスクを事前に識別し、適切な環境保護措置を講じることが必要です。
3)「OHSMS」の場合:
OH&SMSにおいて依頼者の運営管理に伴う労働安全衛生リスクの管理に失敗するリスクの評価とは、作業環境や作業方法に起因する労働者の健康や安全を脅かす要因を特定し、これらのリスクを適切に管理できていない可能性の評価を意味します。
例えば、建設現場で、適切な安全装備の提供がなされず、作業員が高所作業中に転落するリスクがある場合、これは重大な怪我や死亡事故につながる可能性があります。
また、騒音や振動、有害物質の取り扱いに関連する職業病のリスクも考慮する必要があります。したがって、OH&SMSではこれらの安全衛生リスクを事前に識別し、適切な予防措置を講じることが重要です。
《適切な一時的サイトのサンプルとは》
1)「QMS及びEMS」の場合(建設業の事例):
建設業現場の場合、適切なサイトサンプルを選定する際には、プロジェクトの規模と種類、進行中の作業の段階、およびそれに伴う環境側面と影響を考慮する必要があります。
例えば、大規模な商業ビルの建設現場は、その規模と複雑性、使用される資材の種類、廃棄物管理の方法などがEMSの審査で代表的なサンプルになり得ます。
2)「OHSMS」の場合(建設業の事例):
建設業現場でOH&SMSにおける適切なサイトサンプルを選定する際は、現場特有の労働安全衛生リスク、活動およびプロセスの規模と種類、そして関連する危険源の種類を網羅的に考慮することが重要です。
例えば、高所作業が頻繁に行われる建設現場は、転落防止策や安全網の使用など、特定の安全対策の実施状況を評価するのに適したサンプルとなります。
また、化学物質を扱う現場では、有害物質の取り扱い、保管、廃棄方法の管理が重点的に審査されます。選定されたサイトサンプルは、進行中のプロジェクトの各段階を代表し、労働安全衛生リスクの管理における組織の取り組みの有効性を検証するために役立ちます。
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