2024年7月28日付のデイリースポーツが、
『柔道男子・鈴木桂治監督が怒り 永山の不可解判定への抗議を審判団一笑「まず落ちたよね?」 終始憤り隠さず「悪魔の6秒間、あってはいけないこと」』
と言う見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、この「疑惑の判定」に関する筆者の感想を述べます。
《記事の要約》
2024年7月27日に、永山竜樹選手(28歳、SBC湘南美容クリニック所属)は、準々決勝で敗れた後、3位決定戦でトルコのイルディスに合わせ技一本勝ちし、銅メダルを獲得しました。
試合は開始45秒で大腰により技ありを取り、残り52秒で横車を決め、もう一度技ありを獲得して勝利を決めました。
これにより、日本は同階級で4大会連続のメダル獲得となりました。
鈴木桂治監督は永山のパフォーマンスを称え、「負けた後に気持ちをしっかりと立て直してくれた。
日本代表として戦ってくれたことに感謝したい」と述べました。
しかし、準々決勝での不可解な判定には抗議が通らず、永山は「俺たちの力不足だ」と謝罪され、「ここで勝つことでお前の強さを証明してくれ」と激励されたことを監督は明かしました。
審判団は「待て」というコマンドの後に起こった行動について、「落ちたかどうかではなく、絞め続けることが柔道精神に沿っているか」と問うており、その際の対応に疑問を投げかけました。この「待て」の判断について、監督は「間違いだった」と強く批判しました。
永山は畳での抗議により厳重注意を受け、「スポーツ精神にふさわしくなかったかもしれないが、問題提起ができたのならそれでいい」と述べました。
彼は試合後、「金メダルが目標だったが、少なくとも銅メダルを取るために気力だけで戦った」と振り返りました。
永山は準々決勝で2023年の世界王者ガルリゴス(スペイン)に敗れましたが、絞め技により失神し、判定で敗北が決まりました。
この際の審判の判断に不服を持ち、試合後には握手を拒否し、畳をなかなか離れませんでした。
最終的には約5分後に礼をして退場しましたが、観客からはブーイングが起こりました。
日本チームはこの判定に対して抗議しましたが、覆ることはありませんでした。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の感想》
ネットやメディアで話題となった点を、以下に、整理しました。
1)主審の「待て」の判断の適切性(主審の判定および審判団の見解)
主審が「試合が膠着して“動きが止った”」と判断したのであれば、主審は「待て」を掛けた段階で、絞め技を掛けている選手を引き剥がすべきです。
しかし、試合を見ている限り、主審は「“待て”を宣告したにも関わらず、絞め技の継続」を許した。
そして、「結果的に永山選手が失神」したのを確認して、「一本」を宣告したわけです。
この点について、ポイントを羅列すると、
◆主審の「待て」のタイミングは適切だったのか
→締め技は、そもそも“動き”が見えなく、絞め技の有効性を判断できずに、“待て”を宣告 した可能性が高いのではないか。
◆「待て」の後に「絞め技の継続」を許したのはなぜか
→客観的には「主審の判断・対応ミス」ではないか。
◆主審が「待て」を宣告した後、試合を止めなかったことについて、審判団はどのように判断したのか
→「待て」が掛かった段階では、「失神」していなかったのではないか。
◆主審および審判団(ジュリー)の審判技量
→試合の状況を判断する力量が欠けていたのではないか。
2)永山選手について(スポーツマンシップなど)
ポイントを整理すると、
◆ガルリゴス選手に一本勝ちが宣告された後の態度
→握手を拒否して、畳から下りなかったのは、「負け」を受入れることになるので、あの段階では、やむを得ないと思われる。
◆「待て」が掛かった後の対応
→国際大会では「日本の常識」は通用しない。相手が力を抜くまでは、「待て」が掛かっていても力を抜くべきでなかったのではないか。
◆表彰式での態度
→同じく3位になったガルリゴス選手と握手しており、スポーツマンシップは保たれたのではないか。
私の知る限り、柔道について、現状の国際大会のルールは、「主審の判定と審判団の判断」で、試合は決します。
つまり、野球やサッカー、バレーボール、バドミントンなど他の競技のような「チャレンジ」や「VAR」、「リクエスト」等のシステムはありません。
根本は「主審やジュリーの力量」に問題があると思いますが、試合を見ている角度で印象はかなり違うので、「選手自ら」あるいは「選手が所属する国」から「リクエスト」を要求し、その間は、「試合における判定や判定結果保留」の仕組みを整備するべきでしょう。
また、日本の対応としては、
◆英語が堪能なコーチなどスタッフが必要
◆柔道連盟の国際会議でルール見直しなど、発言権を高める戦略が必要
なのではないかと思います。
それにしても、日本は、柔道に限らず、経済面や国際的な政策面等でも、国際団体での地位向上やルール構築・改正などが戦略的な活動が効果的に機能していません。
こうしたことを理解できる価値観形成やいわゆる「政治力」に長けた人材育成は、日本の課題なのかもしれません。
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