サービス業の組織がISO45001を構築する場合、「危険源の特定のイメージが湧かない」という方が意外と多いです。

そこで、今回は、「ドライクリーニング業」について、危険源や法規制の事例を挙げてみたいと思います。

 

《“ドライクリーニング業”における危険源の事例》

a. 化学物質の曝露:

ドライクリーニングに使用される化学物質(例:パークロロエチレン)による健康への影響。

 

b. 火災と爆発のリスク:

可燃性の化学物質の取り扱いにより、火災や爆発の危険性があります。

 

c. 機械による怪我:

ドライクリーニング機械やプレス機からの怪我、特に挟まれたり、引っかかったりする事故。

 

d. エルゴノミクスに関連する問題:

長時間の立ち仕事、繰り返しの動作、重い衣類の取り扱いによる筋骨格系の障害。

 

e. 有害な蒸気やガスの吸入:

化学物質の蒸気やガスが室内の空気質に影響を与え、従業員が吸入するリスク。

 

《危険源に対する管理策の事例》

a. 適切な換気システムの導入:

化学物質の蒸気を効果的に排出するための換気システムを設置し、定期的なメンテナンスを実施します。

 

b. 個人保護具の使用:

化学物質の取り扱いに際して、適切な手袋、エプロン、マスク、保護眼鏡などの個人保護具(PPE)を提供し、その使用を徹底します。

 

c. 安全な作業プロトコルの開発と教育:

化学物質や機械の安全な取り扱い方法に関するプロトコルを開発し、従業員に対して定期的な安全教育を行います。

 

d. 火災予防策:

可燃性物質の安全な保管、防火設備の設置、定期的な安全点検を実施します。

 

e. エルゴノミクスの改善:

作業ステーションのエルゴノミックな設計、適切なリフティング技術の教育、定期的な休憩を促進します。

 

《ドライクリーニング業に関連する法規制の事例》

「ドライクリーニング業」に適用される「労働安全衛生に関する日本の法規制及びその他の要求事項」には、従業員の安全と健康を確保するための様々な規定が含まれます。以下はその事例です。

 

A.労働安全衛生法(労安法):

労働者の安全と健康を確保するための基本法律です。ドライクリーニング業においては、化学物質の取り扱い、機械の操作、作業環境の安全性など、労働者が安全に作業できる環境を提供するための措置が要求されます。特に、有害な化学物質の使用に際しては、適切な換気設備の設置や個人保護具の提供が必要です。

 

B.化学物質のリスク評価および管理:

ドライクリーニングに使用される化学物質(例:パーチロロエチレンなど)について、その取り扱い、保管、廃棄を適切に管理することが求められます。従業員への適切な教育と訓練、化学物質の安全データシート(SDS)の提供が必要です。

 

C.労働基準法:

労働時間、休憩、休日、残業に関する基準を定める法律で、ドライクリーニング業もこれに従う必要があります。従業員の健康を守るために、長時間労働の抑制や適切な休息時間の確保が重要です。

 

D.廃棄物処理法:

ドライクリーニングプロセスで発生する産業廃棄物(使用済みの化学溶剤や汚れたフィルターなど)の適正な処理と廃棄が要求されます。廃棄物の分類、保管、運搬、処理方法について法的な基準に従う必要があります。

 

E.消防法:

ドライクリーニング業においては、化学物質の取り扱いによる火災リスクがあります。そのため、消火器の設置、非常時の避難経路の確保、火災報知器の設置など、火災予防と対策に関する要件が適用されます。

 

《ドライクリーニング業の緊急事態想定と対応手順の事例》

a. 化学物質漏洩時:

直ちに作業エリアを避難させ、漏洩源を安全に封じます。必要に応じて専門の清掃チームを呼び、従業員は安全な場所で待機します。

 

b. 火災発生時:

直ちに火災報知器を作動させ、非常避難路を通じて避難します。消火器を使用する訓練を受けた従業員のみが初期消火を試みることができます。

 

c. 機械事故時:

事故発生時には、直ちに機械の電源を切り、怪我をした従業員に対して応急処置を行い、必要に応じて医療機関へ連絡します。

 

d. 筋骨格系障害の報告時:

従業員からの報告を受けた場合、作業内容の見直しや医療相談を促進し、必要に応じて作業環境の調整を行います。

 

e. 有害ガス暴露時:

有害ガスや蒸気に暴露した場合、被暴露者を新鮮な空気の場所に移動させ、医療機関への受診を勧めます。また、換気システムのチェックと改善を行います。

 

以上が、「ドライクリーニング業」におけるISO45001に基づく危険源、危険源に対する管理策、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。

マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ896号より)

 

 

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