2024年7月3日付の朝日新聞デジタルが、
『川重、裏金で海自潜水艦部隊の物品多額負担か 大阪国税局が調査』
という見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、考察しました。
《記事の要約》
海上自衛隊の潜水艦を製造する「川崎重工業」(本社・神戸市)が、下請け企業との架空取引を通じて裏金を作り出し、それを用いて潜水艦の乗組員らに物品や飲食の費用を提供していた疑いが浮上しました。
この問題は関係者への取材から明らかになり、大阪国税局による税務調査で発覚したとされています。
調査では、川崎重工が作成した裏金が十数億円に上ることが確認され、少なくとも6億円の追徴税が課される見込みです。
川崎重工は、年間約2千億円の防衛関連契約を手掛けており、海上自衛隊の潜水艦を三菱重工業と交互に受注しています。
現在、就役している22隻の潜水艦のうち半数は川崎重工製です。
神戸市中央区にある川崎重工の神戸工場は、潜水艦の建造および定期検査や修理を行う主要施設です。
調査によると、この工場の修繕部で、架空発注を繰り返し行い、支払った金額を裏金としてプールしていたとされます。
これらの架空発注は、複数の下請け企業が関与していたと報じられています。
この問題に対して、防衛省は2024年7月3日に自衛隊員倫理法違反の疑いで調査を開始したと発表しました。この事件が、防衛業界にどのような影響を及ぼすか、また川崎重工の今後にどのような影響があるのか、注目が集まっています。
(記事の要約、ここまで)
《筆者の考察》
川崎重工業が潜水艦の建造契約に関して下請け企業との架空取引を通じて裏金を作り、海上自衛隊の職員に物品や飲食代を提供していた問題は、防衛産業における寡占市場の特性にもかかわらず起こってしまいました。
この事件について、なぜ発生したのかという原因と、再発防止策について考察します。
〈原因〉
1)市場の競争圧力と関係維持:
たとえ市場が寡占的であっても、川崎重工業と三菱重工業との間で厳しい競争が存在します。各企業は、契約を確保するために、海上自衛隊との関係を強化しようと試みる可能性があります。
この過程で、非公式の利益供与が行われる場合があると考えられます。
2)内部統制の不備:
架空取引を通じて裏金が作られたという事実は、企業内部の統制が不十分であったことを示しています。
監査体制の欠如や、不正を見逃す企業文化が問題を悪化させる一因となっている可能性が高いです。
3)倫理規定の欠如または無視:
防衛産業における倫理規定が不十分であるか、従業員によって無視されていた可能性があります。
これにより、不適切な金銭的取引が行われる土壌が形成されました。
〈再発防止策〉
1)内部監査の強化:
川崎重工業は、内部監査機能を強化し、定期的な監査を行うことで不正が発生するリスクを減少させる必要があります。
特に、財務取引に関する透明性を高め、架空取引のような問題を事前に検出できる体制を整えることが重要です。
2)教育と倫理規定の再確認:
すべての従業員に対して、倫理規定の教育を徹底し、定期的な研修を実施することが求められます。
また、違反した場合の処罰規定を明確にし、倫理規定の遵守を従業員に徹底させるべきです。
3)透明性の向上:
企業活動の透明性を高めることで、外部からの監視を容易にし、公正な評価を受ける体制を確立します。
これには、取引記録の公開や、第三者機関による定期的な評価が含まれます。
4)コンプライアンス体制の確立:
コンプライアンスオフィサーの設置や、不正行為を内部告発するための安全なチャンネルの提供が必要です。
これにより、従業員が不正行為を報告しやすくなり、問題の早期発見と対応が可能になります。
5)防衛産業は国の安全保障に直結するため、その信頼性は非常に重要です。
川崎重工業はこの事件を教訓に、より厳格な倫理規定と透明性を確立することで、再発防止に努める必要があります。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ914号より)
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