2024年6月26日付の「47NEWS」(共同通信社)が、

『埋め立てられる「リサイクル優等生」、徳島市収集のペットボトル大半が再生せず、その理由は…全国最下位影響か』

という見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

ペットボトルのリサイクル問題は、環境保護と資源管理の観点から注目されていますが、徳島市でのペットボトルのリサイクル率が極端に低いという事実は、多くの疑問を提起します。

全国平均が95%にも関わらず、徳島市のリサイクル率は25%以下という状況は、明らかに異常です。この問題について深く掘り下げてみましょう。

 

〈なぜ徳島市のリサイクル率が低いのか〉

徳島市では、ペットボトルを缶や瓶と一緒に回収する「混合収集」方式を採用しています。

この方法は、ペットボトルが他のごみと一緒になってしまい、その後の分別作業が困難になることが主な原因です。

具体的には、ペットボトルが液体や破片によって汚染されると、リサイクル過程での品質が低下し、最終的にはリサイクルから除外されるケースが増えます。

さらに、徳島市の焼却施設の老朽化が、燃やして熱を回収する方法を採用しない一因となっています。

 

〈リサイクルされないペットボトルの現状〉

徳島市でリサイクルされなかったペットボトルは、大部分が埋め立てられています。

これには、汚れや異物による品質の問題の他、市のリサイクル施策にも課題があると考えられます。

具体的には、市の分別収集方法や、リサイクル過程での基準が、他市と比較しても厳しく、または不十分である可能性があります。

 

〈徳島市と他の市の比較〉

他の市、特に高知や松山ではペットボトルを単独で収集し、リサイクル率が90%台と高い水準を保っています。これに対し、徳島市のように混合収集を行っている高松市でも約40%のリサイクル率を実現しています。この差は、収集と分別の方法に起因していると考えられ、徳島市のシステムに改善の余地があることを示唆しています。

 

〈改善策〉

リサイクル率の向上を図るためには、以下のような改善策が考えられます。

1)分別収集の徹底:

ペットボトルを他のごみと分けて収集することで、後工程での処理が容易になり、リサイクル率が向上します。

2)市民への教育と啓発:

リサイクルの重要性について市民に理解を深めてもらい、家庭での前処理(例:ペットボトルの洗浄)を徹底する。

3)技術的な改善:

分別技術やリサイクル施設の近代化を進め、質の低いペットボトルでも再資源化できる体制を整える。

 

〈総括〉

ペットボトルのリサイクル問題は、単に技術や施設の問題ではなく、市の政策、市民の意識、そして地域全体の取り組みが影響しています。

徳島市の例からも分かるように、一部の地域でリサイクル率が著しく低いのは、これら複数の要因が複合的に作用しているためです。

持続可能な社会を目指す上で、これらの問題に対処することが求められています。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

ペットボトルのリサイクル問題は、地球環境への影響を考慮すると、単に地方自治体の問題を超えて、国全体の課題であり、更にはグローバルな課題としても捉えるべきです。現在、日本におけるペットボトルのリサイクル率は高い一方で、自治体による差が大きいのが現状です。これは、容器包装リサイクル法の枠組みの中で考える必要があります。

 

〈容器包装リサイクル法の現状〉

1997年に施行された容器包装リサイクル法は、容器包装廃棄物の減量化と有効利用を促進することを目的としています。この法律は、製造者や輸入者、自治体にリサイクルの責任を共有させることで、リサイクルシステムの構築を目指しています。具体的には、自治体が収集し、製造者や輸入者が分別、再資源化のプロセスに資金を提供する形です。

 

〈現行法の課題〉

しかし、このシステムにはいくつかの課題が存在します。まず、自治体によって収集・分別のシステムが異なるため、効率性に大きな差が生じています。たとえば、徳島市のように混合収集を行っている場合、リサイクル率が著しく低下する問題があります。これは、他のごみと混ざったペットボトルが適切に分別されず、再資源化の過程で排除されてしまうからです。

 

〈生産者の責任〉

また、現在のリサイクル法では生産者の責任が「資金提供」に留まっているため、物理的なリサイクルプロセスに直接関与していません。有識者からは、リサイクルプロセス全体において生産者がより積極的な役割を担うべきだとの声が上がっています。具体的には、生産者が自らの製品の回収・再資源化を行う「拡大生産者責任(EPR)」の導入が提案されています。

 

〈改善策と提案〉

リサイクルの一元管理: 生産者がペットボトルのリサイクルを一手に引き受けるシステムを構築することで、効率的かつ一貫したリサイクルプロセスが実現可能です。

 

1)技術的改善と市民への教育:

リサイクルプロセスの技術向上と並行して、市民に対する分別意識の向上教育も重要です。自治体と製造者が連携し、リサイクルの重要性を啓発することが求められます。

 

2)法改正による生産者の責任拡大:

容器包装リサイクル法の改正を行い、生産者にペットボトルの回収からリサイクルまでの物理的プロセスへの参加を義務付けることで、全体のリサイクル率向上を図るべきです。

 

〈結論〉

ペットボトルのリサイクル問題は単なる環境問題ではなく、社会的責任と資源効率の問題です。生産者、消費者、自治体が協力し、法的枠組みを見直すことで、より持続可能なリサイクル社会の実現が期待されます。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ913号より)
 

 

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