2024年6月24日付の毎日新聞が、

『門司港駅の遺構取り壊しにイコモスが異例の声明 「重大な懸念」』

と言う見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

国際記念物遺跡会議(イコモス)が、北九州市の明治期に建設された初代門司港駅の関連遺構の取り壊し計画に対して「重大な懸念」を示す緊急声明を発表しました。

この遺構は門司区に計画されている複合公共施設の建設地内で見つかり、門司がかつてアジアの重要都市としての役割を果たしていた歴史を象徴しています。

 

〈遺構の発見と予定される取り壊し〉

2023年9月に始まった埋蔵文化財の発掘調査により、約900平方メートルの敷地から、1891年に建設された初代門司港駅舎の外郭や赤れんがの機関車庫基礎部分が発見されました。

この遺構は日本の近代化の過程を示す国史跡級の価値があると評価されており、日本国内の16の学術団体が現地保存を求めています。

しかし、北九州市は新しい施設の建設を優先し、今秋にも遺構を取り壊す方針を固持しています。

 

〈イコモスの声明と国際的な反応〉

イコモスは、門司の重要な歴史的地位を考慮し、遺構の国際的な重要性を強調しています。

取り壊しに対する懸念が解消されない場合、国際的な注意を促すヘリテージアラートを発出する可能性があると警告しています。

イコモスの声明は、文部科学相や北九州市長へも送付されており、一方的な開発行政が国際問題に発展するリスクを市は認識すべきだとの意見が示されています。

 

〈日本における他のヘリテージアラート例〉

日本では過去にも出雲大社庁舎や鉄道遺構「高輪築堤」、明治神宮外苑などがヘリテージアラートの対象となっています。

これらの例は、開発と保存の間での緊張が高まっていることを示しており、門司港の事例も同様の状況にあると言えます。

 

〈問題の核心〉

この問題の核心は、開発と歴史的遺産の保存のバランスをどのように取るかという点にあります。門司港駅の遺構は単なる古い建物ではなく、日本の近代化と国際化の歴史を物語る貴重な証拠です。その保存は、後世に対する教育的価値も含めて考慮されるべきです。

 

〈結論〉

北九州市は、イコモスからの緊急声明を真摯に受け止め、国際社会からの意見に耳を傾けることが求められます。また、市民や関係者との対話を深め、遺構の保存と地域発展の両立を目指すべきです。歴史的遺構を守ることは、単に過去を保存することではなく、未来への責任を果たすことにもつながります。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

門司港駅の遺構問題は、文化遺産の保存と地域の発展のバランスを如何に取るかという点で、重要な意味を持っています。

遺構が明治時代の日本の近代化を象徴するものとしての重要な歴史的価値を持つ一方で、地域社会や市の再開発計画においては、新しい施設やインフラの整備が求められています。

 

このような文化遺産の保存と現代の利便性の向上の間での対立は、国内外でしばしば見られる問題です。しかし、文化遺産の保存は単に古い物を保存するということだけではありません。それはその地域のアイデンティティを保持し、歴史の教訓を未来に継承することにも繋がります。また、観光資源としても大きな価値を持つことから、経済的な利益を生み出す可能性もあります。

 

北九州市が主張する「記録保存」は、遺構を文書や写真に記録することでその歴史を残す方法ですが、それだけでは物理的な存在感や空間的なコンテクストを伝えることはできません。そのため、可能であれば「一部現地保存」を行い、新たな施設の設計にそれを組み込むことで、歴史と現代の融合を図るべきだと思います。これにより、遺構が持つ教育的な価値と市民への露出が最大化され、より多くの人々がその歴史的重要性を身近に感じることができるでしょう。

 

また、国際的な観点からも、ユネスコの諮問機関であるイコモスからの緊急声明が出されていることを考慮すると、国際社会においてもその保存が求められていることがわかります。これを機に、北九州市が国際的な文化遺産保護の流れに積極的に参加し、それを地域の魅力向上につなげる好機と捉えるべきです。

 

結論として、門司港駅の遺構については、その学術的価値と地域社会への貢献を考慮し、「一部現地保存」による保護が望ましいと考えます。それによって、歴史と現代の調和が図られ、より豊かな文化的風景が創出されるでしょう。

 

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