2024年6月26日付の産経新聞が、

『禁止の鳥獣狩猟道具「かすみ網」販売や購入の男ら9人書類送検』

という見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の引用》※一部筆者が編集

使用や販売が禁止されている狩猟道具「かすみ網」を販売したとして、警視庁生活環境課は、2024年6月26日、鳥獣保護法違反の疑いで、川崎市の通信販売会社「コアーズ」社長の男(51)を書類送検した。また、この男からかすみ網を購入したり、違法に野鳥を捕獲、譲渡したりしたなどとして、同法違反などの疑いで広島県や鳥取県などの30~80代の男8人も書類送検した。全員容疑を認めている。

 

通信販売会社社長の男の書類送検容疑は、2022年8月~2023年1月、6回にわたり、使用が禁止されているかすみ網計8張をインターネットで、計約2万6千円で販売したとしている。

 

同課によると、かすみ網は鳥類が網の存在に気付かずにかかるよう作られたもので、無差別かつ大量に捕獲することが可能。これを悪用した密猟が後を絶たず、使用や所持が禁止されている。同課は男らからかすみ網21張の他、ヤマガラやホオジロなど9種類41羽の野鳥を押収した。

 

2023年1月、捜査員がサイバーパトロールで「防鳥ネット」などの名目で販売されているのを発見し、捜査していた。

(記事の引用、ここまで)

 

《筆者の考察》

「かすみ網」とは、鳥類などが網の存在に気付かずにかかるよう設計された狩猟用の道具であり、使用や販売が禁止されているにもかかわらず、今回の事件で違法に販売され、使用された事例が明らかになりました。

この事件は、多くの疑問を投げかけるものですが、特に重要なのは「なぜ禁止されているかすみ網が販売され、使用されたのか」という問いです。

以下では、この事件について詳しく考察してみます。

 

〈販売された背景〉

1)需要と供給の法則:

禁止されているにも関わらず、かすみ網には依然として市場での需要が存在します。特に野鳥の密猟者やコレクターがこの種の道具を求めており、法的な制約を無視してでも手に入れようとするケースがあります。

 

2)認識の甘さ:

販売者側には、禁止されている狩猟道具の危険性や法的な禁止事項に対する認識が甘いことが指摘されます。また、インターネット上で「防鳥ネット」と偽装して販売されていたことから、規制を逃れる意図的な試みがあったと考えられます。

 

3)利益追求:

通信販売会社社長が法規制を逸脱してまでかすみ網を販売した背後には、高い利益を得る動機があると推測されます。禁止されている商品ほど高値で取引されることがあり、これが違法行為へとつながる原因の一つです。

 

〈使用された理由〉

1)高い効率性:

かすみ網は、無差別かつ大量に鳥類を捕獲することが可能であり、これが密猟者にとって魅力的な道具となっています。効率的に多くの野鳥を捕まえることができるため、商売や趣味の範囲で悪用されることがあります。

 

2)知識の欠如:

使用者の中には、かすみ網の使用が法律によって禁止されていることを知らない、またはその危険性を理解していない人々もいる可能性があります。教育の不足が規制違反に繋がるケースです。

 

〈対策と提言〉

1)法執行の強化:

法的規制を逸脱する行為に対する監視と執行を強化することが必要です。特にインターネットを利用した違法販売に対しては、サイバーパトロールを強化し、迅速に対応する体制を整えるべきです。

 

2)教育と啓発:

野鳥保護法やかすみ網の使用禁止に関する知識を広めるために、教育と啓発活動を強化することが重要です。一般市民だけでなく、狩猟者や野鳥愛好家に対しても、正しい知識の普及が求められます。

 

3)市民の意識向上:

市民一人一人が法規制の意義を理解し、違法商品の購入や使用を慎むことが、根本的な解決に繋がります。自然環境と生態系の保護の観点からも、これは極めて重要な点です。

 

この事件は、法律による規制だけでなく、市民の倫理意識の向上が同時に求められる問題であることを示しています。社会全体で法規制の意義を再確認し、遵守する文化を育てることが、今後の課題と言えるでしょう。

 

〈その他、余談〉

筆者は、以前、仕事で関わった食品工場で、「防鳥ネット」として、かすみ網が使用されている現場を目撃しました。

担当者に、確認したところ、「通販で防鳥ネットとして販売していたので購入した」旨のことでした。

つまり、購入者は、何が法律違反に問われるのか、認識していないケースが多い気がします。

今回の事件も、もしかしたら、「かすみ網の使用は違法」ということを知らない購入者がいたように思います。

それにしても、このようなケースで、販売者がサイバーパトロールで、逮捕されてしまうのは、当然ですが、購入・使用者には、程度問題ではありますが、捜査員から「注意喚起」があってもよいのではないかと思います。

 

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