2024年6月17日付の読売新聞が、

『研修医の誤診などで男子高校生死亡、遺族「何度も助けられる機会あったのに見過ごされた」』

という見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

日赤愛知医療センター名古屋第二病院は、2024年6月17日に重大な医療ミスについて公表しました。このミスは、2023年に16歳の男子高校生の死亡につながったもので、医療過誤が原因であることが明らかにされました。

 

事件の経緯は以下の通りです。

高校生は2023年5月28日に、腹痛と嘔吐の症状で救急搬送されました。

研修医が初診を担当し、コンピューター断層撮影(CT)検査を実施。この検査で胃の拡張は確認されましたが、重要な採血検査の異常値を見逃し、急性胃腸炎と誤診しました。

その結果、高校生は一旦帰宅しましたが、症状が続いたため再び救急外来を訪れました。

しかし、再診時にも新規の症状がないとされ、別の研修医によって帰宅させられました。

 

翌日、高校生は近くのクリニックで適切な診断を受け、緊急性が高いと判断されました。

再び名古屋第二病院に搬送された際には、十二指腸が閉塞する上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)と診断されました。

しかしながら、入院後も適切な医療措置が施されず、高校生はショック症状を発症し、心肺停止に至り、最終的に死亡しました。

 

この一連の医療過誤は、研修医の診断ミスと、病院のサポート体制の不備に起因します。病院側は内部で医療事故調査委員会を設置し、調査結果に基づいて「研修医のCT画像評価の不十分さ、脱水症の評価ミス、そして研修医のサポート体制の不足」が明らかにされました。

 

院長は記者会見で深い謝罪を表明し、「未来ある患者を救えず、適切な対応ができなかったことに深くお詫び申し上げます」と述べました。

また、病院はこの事故を受けて、組織内の医療教育の見直しを進めると発表しています。

 

高校生の遺族は、医療スタッフの誤診と判断ミスが原因で息子を失ったことに深い悲しみと後悔の念を表しています。彼らは、「多くの助ける機会があったにも関わらず、そのすべてが見逃された」とし、「息子が見ていた未来を奪われたことを忘れないでほしい」とコメントしています。

(記事の引用(筆者が編集)ここまで)

 

《筆者の考察》

日赤愛知医療センター名古屋第二病院が2024年に公表した、16歳の男子高校生の死亡につながった医療過誤事件は、深刻な管理体制の欠陥を露呈しました。この事例から、医療機関における研修医の指導体制の重要性が再確認され、医療教育の見直しや再発防止策の必要性が浮き彫りになりました。

 

【管理体制の問題点】

1)研修医の誤診と対応の不適切さ:

初診を担当した研修医がCT画像の評価ミスと、重要な採血検査の異常値の見逃しにより、急性胃腸炎と誤診。この誤診が致命的な遅延を引き起こしました。

 

2)サポート体制の不備:

病院には研修医の診断をサポートするシステムが不十分であったことが指摘されています。特に、重大な症状を見逃すリスクを減らすための監視体制や、研修医への即時のフィードバックメカニズムが欠けていた可能性があります。

 

3)コミュニケーション不足:

研修医間での情報共有の欠如や、患者の症状に対する認識の不一致が見られました。再診時にも新規の症状がないと判断されたことは、情報の連携がうまく行われていなかったことを示唆しています。

 

【再発防止策】

1)教育とトレーニングの強化:

研修医に対する教育プログラムを強化し、特に緊急時の対応能力を高めるトレーニングを定期的に実施することが重要です。シミュレーションベースのトレーニングを導入し、実際の緊急事態に備えた対応を徹底する。

 

2)メンターシステムの導入:

経験豊富な医師が研修医の活動を直接監督し、必要に応じて即座に介入できるメンターシステムを導入する。
これにより、研修医の早期のミスを未然に防ぎ、患者への迅速な対応を保証する。

 

3)診断サポートシステムの充実:

最新の診断支援技術を導入し、特に画像診断の精度を高める。AIなどの技術を利用して、研修医の診断を補助し、ミスの可能性を減らす。

 

4)透明性と報告システムの改善:

医療ミスや近いミスの透明な報告と分析を奨励する文化を育て、全スタッフが学び、改善する環境を作る。


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「腸閉塞」について、調べてみましたが、「急性胃腸炎」とは、比べものにならないほど、痛みがあるようで、想像すると、いたたまれない気持ちになります。
また、異なる研修医が、「急性胃腸炎」と同じ診断を下していますが、近所のクリニックで、「緊急性が高い」と診断され、再び名古屋第二病院に搬送され、「十二指腸が閉塞する上腸間膜動脈症候群(SMA症候群)」と診断されたにも関わらず、なぜ「入院後に適切な医療措置が施されなかったのか」、このニュースからは、詳細は不明ですが、不思議でなりません。

「医師には当たり外れが多い」と言われ、要は「医者ガチャ」(運次第)の要素が高い現状のようですが、それでは、緊急性を要する症状に、自分がなった場合、不安しかありません。

月並みですが、日赤愛知医療センターは、この問題について徹底的に院内の体制を見直して欲しいと思います。


 

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