サービス業の組織がISO45001を構築する場合、「危険源の特定のイメージが湧かない」という方が意外と多いです。
そこで、今回は、「テレビ・ラジオ放送事業者」について、危険源や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《テレビ・ラジオ放送事業者における危険源の事例》
a. 機材の取り扱いによる怪我:
カメラや照明機器などの重い放送機材を取り扱う際の怪我。
b. 高所作業のリスク:
照明設置や機材設定のための高所での作業。
c. 電気的ハザード:
放送機材の電源管理やケーブルの取り扱いにおける感電のリスク。
d. 精神的ストレス:
締め切りのプレッシャーや放送中のストレス。
e. 紫外線や強い照明による目の健康リスク:
長時間の照明下での作業による眼の疲労や健康問題。
《危険源に対する管理策の事例》
a. 機材取り扱い時の安全対策:
適切なリフティング技術のトレーニングと、重量物を運搬する際の補助具(台車など)の使用。
b. 高所作業の安全対策:
安全ハーネスの使用、安全な足場の確保、高所作業に関するトレーニング。
c. 電気安全対策:
適切な電源管理、ケーブルの整理整頓、感電防止のための安全教育。
d. 精神的ストレスの管理:
ストレスマネジメントプログラム、十分な休憩時間、サポート体制の整備。
e. 目の健康対策:
適切な照明レベルの確保、目の休息時間の確保、保護メガネの使用。
《テレビ・ラジオ放送事業者に関連する法規制の事例》
a. 労働安全衛生法:
労働者の安全と健康を確保するための基本的な法律。放送事業者は、リスク評価を実施し、安全な作業環境を提供するための措置を講じる必要があります。
これには、危険物質の管理、作業場所の安全性確保、緊急事態対応計画の策定などが含まれます。
b.労働基準法:
労働時間、休憩、休日、残業など労働条件に関する規定を含む法律。放送事業では特に不規則な労働時間や夜間作業が多いため、これらの法規制が重要になります。
c.電気事業法:
電気設備の安全な管理と使用に関する規制を含む法律。放送機材は高電圧の電源を使用することが多く、この法律の適用が必要です。
d.建築基準法:
放送局の建物の安全基準に関する法律。耐震基準や消防安全、避難経路の確保などが規定されています。
e.消防法:
火災予防と対応に関する法律。放送局には多数の電気機器やケーブルがあり、火災のリスクが高いため、適切な消防設備の設置と定期的な点検が求められます。
《危険源に対するテレビ・ラジオ放送事業者の緊急事態想定と対応手順の事例》
a. 機材取り扱い中の怪我:
怪我をした場合は直ちに応急処置を施し、必要に応じて医療機関に連絡する。
b. 高所作業中の事故:
落下事故が発生した場合、直ちに安全な場所に移動し、救急手当を行い、緊急サービスに連絡する。
c. 電気事故:
感電事故が発生した場合、直ちに電源を遮断し、応急処置を施し、必要に応じて救急車を呼ぶ。
d. 精神的ストレスによる問題:
ストレスによる健康問題が発生した場合、職場のカウンセラーへのアクセスを提供し、休息を促す。
e. 照明による目の怪我:
目の怪我や異常を感じた場合、直ちに医療機関を受診し、作業から離れる。
以上が、「テレビ・ラジオ放送事業者」におけるISO45001に基づく危険源、危険源に対する管理策、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ882号より)
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