2024年5月9日付のデイリー新潮が、

『元従業員が告発! 「山崎製パン」デニッシュ消費期限偽装の手口 「手作業でパンの袋を全部開封して翌日分として再包装」』

という見出しの記事を報じています。

以下に、この記事の要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

日本の食品業界を代表する企業である山崎製パンが、「消費期限偽装」という深刻な問題に直面している。

山崎製パン元従業員の証言によれば、工場では「予算」(ノルマ)達成の圧力の下、期限偽装が日常的に行われていたという。

 

問題の背景には、社員に課された厳しい「予算」の存在がある。元幹部によれば、営業担当者は店舗に納品した製品が売れ残ると、自腹で買い取ることもしばしば。特定の季節だけ販売される高価な製品を店舗に納めたものの売れない場合、自らが負担するケースもあるという。

 

また、工場の元従業員の証言によれば、在庫過剰な発注元からの返品があると、パンを開封してベルトコンベアで再包装し、翌日の納品分に仕立て直す作業が常態化していた。

偽装されていたのは「デニッシュブレッド」シリーズで、1度の作業で100~200個が対象となり、2~3日に1度の頻度で行われていたとされる。

 

偽装の指示は工場の係長が行い、現場の従業員も消費期限を偽装している認識はあったが、反論すると問題が大きくなるため、黙って従っていたとのこと。

広報部門に確認すると「調査のしようがない」と回答されているが、偽装の疑いに対して徹底的な調査が求められる。

 

この問題だけでなく、工場内での事故死を公表せず、過酷な労働環境を放置しているとの指摘もなされている。詳細は「週刊新潮」5月16日号に掲載されているが、ブラックな労働環境や経理の不正も取り上げられている。

 

消費者の信頼を取り戻すためにも、山崎製パンは労働環境改善と透明な調査を行い、食品製造業としての責任を果たす必要がある。

(記事の要約、ここまで)

 

《筆者の考察》

〈山崎製パンにおける組織問題と必要な改革〉

山崎製パンが抱える問題には、消費期限偽装をはじめとする食品安全性の懸念、従業員への過剰な業務負担による労働問題、そして組織的なコンプライアンス意識の欠如がある。

これらの問題は、食品業界を代表する企業としての信用を損ね、消費者や従業員への重大なリスクを生じさせるものです。

 

〈組織に内在する問題点〉

1)消費期限偽装

元従業員の証言によると、工場の現場では「予算」(ノルマ)達成のために、発注元からの返品商品を再包装して翌日の納品分とし、消費期限を偽装していた。この偽装の指示は工場の係長から出されており、現場の従業員も消費期限の繰り越しが不正であることを認識しつつ、反論せずに従わざるを得なかった。企業内部での規範意識の低下がここに表れている。

 

2)ノルマ達成のプレッシャー

営業部門ではノルマの達成を迫られ、売れ残り商品の自腹買い取りを含めた過剰な負担が常態化している。従業員への過度なプレッシャーが、品質管理や不正行為の温床になっている可能性がある。

 

3)労働環境の過酷さ

工場での事故死が公表されないまま、過酷な労働環境が放置されている。このような状態は従業員の士気低下や生産性の低下を招くだけでなく、結果的に品質管理に影響を及ぼし、リスクが高まる。

 

4)コンプライアンス意識の欠如

広報部門は、消費期限偽装の疑いについて「調べようがない」と回答している。問題の有無にかかわらず、調査すら行わない姿勢は、消費者に対する責任放棄と言わざるを得ない。

 

〈組織改革に必要なアプローチ〉

1)内部告発を可能にする仕組み

従業員が不正行為を内部告発できるような匿名のホットラインを設置し、報復措置を禁止する制度を作ることで、透明性の高い環境を整える。

 

2)厳格な監査とコンプライアンス教育

内部および外部からの独立した監査機関を設置し、定期的な監査を実施する。さらに、全従業員に対し、倫理規範やコンプライアンスに関する教育を行い、違反行為に対するリスク意識を高める。

 

3)労働環境の改善

従業員のノルマ達成に関する評価基準の見直しや労働時間の短縮、適切な休暇の確保など、過剰なプレッシャーを解消するための労働環境改善策を講じる。

 

4)顧客および社会への透明性

消費者に対して情報を積極的に公開し、製品の品質管理に関する透明性を高める。万一、問題が発覚した場合には迅速に公表し、再発防止策を示すことで信頼を取り戻す。

これらのアプローチを徹底することで、山崎製パンは内部の倫理規範を高めるとともに、食品企業としての信頼を回復する方向へと変革していくことができる。組織全体で問題を共有し、改革に取り組む姿勢が重要です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ906号より)
 

 

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