サービス業の組織がISO45001を構築する場合、「危険源の特定のイメージが湧かない」という方が意外と多いです。
そこで、今回は、「不動産業」について、危険源や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《不動産業における危険源の事例》
a. 高所作業に伴う転落の危険:
建物のメンテナンスや清掃作業での高所作業は転落事故を引き起こす可能性があります。
b. 重機械の操作ミス:
建物の修理やリノベーション時に使用する重機械の操作ミスは怪我の原因になり得ます。
c. 電気工事中の感電の危険:
電気設備の修理やメンテナンス作業は感電の危険が伴います。
d. 物件内の有害物質の曝露:
アスベストなどの有害物質が含まれる古い建物の改修作業中に健康被害を受ける可能性があります。
e. 地震や災害による建物の倒壊:
日本の不動産業では、地震などの自然災害による建物の損壊が危険源となります。
《危険源に対する管理策の事例》
a. 高所作業の場合、適切な保護具(安全帯やハーネス)の使用と、安全ネットや足場の設置を義務付ける。
b. 重機械の操作には、専門的なトレーニングを受けた資格のあるオペレーターのみを配置し、定期的な安全点検を行う。
c. 電気工事を行う際は、必ず適切な絶縁工具を使用し、電気を遮断した状態で作業する。
d. 有害物質が存在する可能性のある物件では、事前に専門家による調査を実施し、必要に応じて適切な保護具を着用する。
e. 建物の耐震性を確認し、必要に応じて補強工事を行う。また、緊急時の避難訓練や安全確保のためのプロトコルを定める。
《不動産業に関連する法規制の事例》
◆労働安全衛生法:
労働者の安全と健康を確保するために、事業者に対して安全衛生管理体制の構築や教育訓練の実施などを義務付ける法律です。
◆建設業法:
建設工事に関わる事業者に対し、工事の安全管理を義務付ける法律です。
◆労働者派遣法:
派遣労働者の安全衛生を確保するための措置を定める法律です。
◆労働契約法:
労働者と事業者の間の労働契約に関わる事項を規定し、労働条件の基準を設けています。
◆災害時緊急対策基本法:
自然災害が起きた際の対策や、事業者の責務について定めています。
《危険源に対する不動産業の緊急事態想定と対応手順の事例》
a. 高所からの転落事故:
定期的な安全点検と保守を実施し、緊急事態には救急処置ができるスタッフを常駐させる。事故が発生した場合は速やかに救急車を呼び、救助活動を行う。
b. 重機械の操作ミスによる事故:
重機械使用時には常に監督者を置き、緊急停止スイッチを設ける。事故発生時には、直ちに機械を停止させ、怪我人がいれば応急処置を施し、必要に応じて医療機関に連絡する。
c. 電気工事中の感電事故:
作業者には必ず絶縁手袋や保護具を着用させる。感電事故が発生した際には、直ちに主電源を遮断し、救急処置を行いつつ救急車を呼ぶ。
d. 有害物質の曝露事故:
作業開始前には空気の質を測定し、適切な換気を保つ。有害物質に曝露した際は、直ちに該当エリアを封鎖し、被曝者を安全な場所に移動させてから専門家による除去作業を行う。
e. 地震や災害時の建物倒壊:
建物内には常に非常用の食料、水、救急セットを備えておく。地震発生時には、迅速に安全な避難所に移動し、建物の構造的安全が確認されるまで立ち入らない。また、事前に緊急避難訓練を行い、従業員に避難経路を認識させる。
以上が、「不動産業」におけるISO45001に基づく危険源、危険源に対する管理策、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。これらの事例は、具体的な対応策やプロセスを設定する際の参考として使用できます。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ879号より)
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