2024年5月12日付の毎日新聞が、
『コロナ情報発信の国内専門家、半数が「攻撃受けた」 殺害予告も』
と言う見出しの記事を報じていました。
以下に、この記事を要約し、考察しました。
《記事の要約(専門家の誹謗中傷被害:新型コロナ情報発信の裏側)》
新型コロナウイルス感染症の世界的流行中、マスメディアなどで情報発信を行った専門家の半数が誹謗中傷などの攻撃を受けていたことが明らかになりました。
早稲田大学の田中幹人教授(科学技術社会論)らの研究グループが実施したアンケート調査の結果が、2024年5月号の人工知能学会誌で発表されました。
この調査は、新型コロナに関連して科学的な情報を発信する専門家への攻撃について、国内の実態を初めて明らかにしたものです。
田中教授らの研究グループは、2020年2月から2021年3月にかけて、テレビや新聞でコメントした国内の専門家121人にアンケートを送り、42人から回答を得ました(回答率34.7%)。
調査の結果、情報発信後に攻撃を受けた頻度について、「発信すると大体攻撃を受けた」と答えたのが6人(14%)、時々攻撃を受けた」と答えたのが15人(36%)で、合計21人(50%)が被害を認識していました。
また、ソーシャルメディアを含めた情報発信後の自身や家族への悪影響については、12人(29%)が「なかった」と答えましたが、29人のうち8割が「感情的、心理的な苦痛があった」と報告しました。
さらに、3人が「殺害予告を受けた」とし、2人が「身体的・性的暴力に関する脅迫を受けた」と答えています。
海外でも同様の調査が行われており、英国、米国、台湾など7カ国・地域の専門家を対象にした調査では、321人中15%の47人が殺害予告を受け、22%の72人が身体的・性的暴力の脅迫を受けていることが明らかになっています。
田中教授は「身体的・心理的脅迫は、社会の健全な議論の妨げにしかならない。
科学についても議論を表立って引き受けてくれる人々を組織的にサポートしたり、保護したりする仕組みが必要だ」と指摘しています。
(要約、ここまで)
《筆者の考察》
〈誹謗中傷に対する専門家の直面する問題とその背景〉
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、科学的な情報を発信する専門家が誹謗中傷や攻撃を受けるケースが増えています。早稲田大学の田中幹人教授らの研究グループの調査によると、国内の専門家の半数が情報発信後に何らかの攻撃を受けているという実態が明らかになりました。このような現象が発生する背景には、いくつかの要因が考えられます。
〈人々の不安と情報の受け取り方〉
新型コロナウイルスのパンデミックは、人々の生活に大きな影響を与えました。マスクの着用やワクチン接種、感染対策についての意見の違いから、個々の意見が対立する場面が多く見られました。意見1では、人々が他者を攻撃しやすい環境が作られていたことが指摘されています。煽るような報道や、攻撃対象が次々と変わる状況は、いじめのような構図を生み出していたともいえます。これは、情報の受け取り方や社会全体の不安感が影響していると考えられます。
〈SNSの普及と匿名性の問題〉
意見2では、SNSの普及と匿名性が誹謗中傷を助長していると述べられています。SNS上では、顔が見えないために攻撃的な発言をすることが容易になります。特に、殺害予告や身体的・性的暴力に関する脅迫は犯罪として厳しく取り締まる必要があります。これにより、誹謗中傷の抑止効果が期待できるでしょう。
〈専門家の責任と情報発信の質〉
専門家が情報発信を行う際には、その責任が問われます。意見3と意見4では、専門家に対して正確で責任ある情報発信が求められると同時に、攻撃されることがあってはならないと指摘されています。誤った情報や不確実な情報が発信されると、信頼性が損なわれるだけでなく、誹謗中傷の対象になるリスクも高まります。したがって、専門家は常に最新の知識とデータに基づいて発言することが重要です。
〈専門家の多様な意見とその受け止め方〉
専門家の中でも意見が統一されていないことが指摘されています。テレビやメディアでの発言が必ずしも正しいとは限らず、視聴者は情報の正確性を見極める必要があります。これは、専門家の意見が多様であることを理解し、それぞれの意見に対して批判的に考える姿勢が求められることを示しています。
〈製薬会社や政府との関係〉
製薬会社や政府との関係が専門家の情報発信に影響を与える可能性が指摘されています。特に、新しい技術であるmRNAワクチンに対する情報発信が偏っていた場合、その結果として健康被害が発生するリスクがあります。専門家は、自身の意見が影響力を持つことを認識し、誠実かつバランスの取れた情報発信を行うことが求められます。
〈結論〉
新型コロナウイルスに関連する情報発信における誹謗中傷問題は、多くの複雑な要素が絡んでいます。
専門家は責任ある情報発信を行い、社会はその情報を批判的に受け取ることが重要です。
また、SNSの匿名性による誹謗中傷を防ぐための法的措置や、専門家をサポートする仕組みの整備が必要です。これにより、健全な社会的議論が維持され、より良い情報共有が可能となるでしょう。
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