2024年4月27日付の「IT Mediaビジネスオンライン」が、

『セブン銀行、ATMでの「祝儀送金サービス」実証実験を開始 仕組みは?』

という見出しの記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》
テイクアンドギヴ・ニーズはセブン銀行と協力し、新しいサービス「つつむと」の実証実験を開始しました。

このサービスは、セブン銀行のATMを使用して、結婚式の祝儀をデジタルで送金できるものです。

対象は2024年5月31日以降に同社の式場で結婚式を行うカップルで、実験期間は2024年4月24日から2025年3月31日まで設定されています。

 

このサービスでは、ゲストが招待状に記載された二次元コードやURLを通じて専用のポータルサイトにアクセスし、祝儀を送金します。カップルはこのサイトでアカウントを作成し、受け取り口座と連携させ、結婚式の10日前、翌日、または8日後に祝儀が口座に振り込まれます。

 

利用者には料金が発生せず、新札や祝儀袋の用意が不要になるため、手間とコストの削減が見込まれます。

さらに、このサービスを利用することで、カップルは「WWFジャパン」「日本財団」「夢の貯金箱」など、選んだ団体に寄付を行うことができ、祝儀の送金が環境保全や社会貢献活動への支援につながります。

 

セブン銀行は2016年から新規事業のアイディアを募集しており、2023年度は、テイクアンドギヴ・ニーズを含む2社の提案が採用されたことでこのプロジェクトが実現しました。なお、これまでにのべ200社以上の応募あるそうです。

《「“つつむと”の利用は限定的」と予想する理由》
私自身は、この“つつむと”のサービスは、限定的ではないかと思います。

最近は、葬儀における香典の辞退も多くなり、結婚披露宴も近い親族でこじんまりと開くケースが多いです。
また、そもそも、このサービスは、「ご祝儀を式場に届けてくれるサービス」ではなく、「披露宴入金システム」で、ドライすぎます。
 

その他にも、以下の理由が考えられます。
1)小規模化の傾向:
結婚式のトレンドが大規模な式から親族中心、さらには非公式な小規模な集まりへと変化しています。このため、伝統的な祝儀を送金する必要がある場面が減少し、そうしたサービスの利用者も限定的になる可能性があります。

2)デジタル化への抵抗感:
特に高齢のゲストにとって、デジタルプラットフォームを介した金銭のやり取りは馴染みが薄く、不安を感じることがあるため、新しいシステムへの移行がスムーズに進まないことが予想されます。

3)文化的要素:
日本においては、直接手渡しすることに特別な意味が込められている場合が多く、特に祝儀のような文化的に重要な金銭の授受をデジタル化することに対する抵抗感が根強いです。
 

《“つつむと”の利用ニーズがあると予想する理由》
しかし、「ニーズがないのでは」という感覚は、「50代の私の感覚」で、若い世代にとっては、あまり抵抗がないのかもしれません。
抵抗がなければ、以下の理由で、ニーズは意外とあるのかもしれません。

1)利便性:
特に若い世代や忙しいビジネスパーソンにとって、ATMから簡単に祝儀を送金できることは大きな利点です。スケジュールが合わず式に参加できない場合でも、気持ちを伝えられる手段として価値があります。

2)安全性と衛生:
新型コロナウイルスの影響で、現金の授受を避けたいと考える人が増えています。デジタル送金は、衛生的で安全な代替手段として機能します。

3)環境への配慮:
新札や祝儀袋を用意することなく、環境保護に貢献できることは、環境意識が高い消費者にとって魅力的です。また、サービスを通じて慈善団体への寄付が行える点も、社会的責任を重んじる層に訴求します。

4)ソーシャルディスタンシングの維持:
大規模な集会を避ける社会的要請が続く中、物理的な距離を保ちながら心を繋ぐ方法として、このサービスが注目される可能性があります。


個人的には、最後に披露宴に出席したのは、10年近く前の親族の披露宴ですが、同級生の多くの披露宴に出席した1990年代後半から2000年代前半と比較すると、披露宴は招待客数を含め内容もおとなしくなった、と感じました。
冠婚葬祭ビジネス自体の規模が昔より縮小しているので、業界としては、差別化サービスに注力しないと生き残れないのでしょう。

 

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