2024年4月26日付のチューリップテレビが、

『「正露丸」で試験記録を改ざん「キョクトウ」に業務停止命令23日間 富山県』

という見出しの報道をしていました。

以下に、この報道を要約するとともに、この問題の原因について、考察しました。

 

《記事の概要》

富山市に拠点を置く医薬品メーカー、キョクトウ株式会社が、製造する整腸剤「正露丸」に関する試験記録の改ざんが発覚し、2024年4月30日から23日間の業務停止命令を受けました。
富山県の発表によると、キョクトウは有効成分ロートエキスの含有量が承認基準を下回っているにもかかわらず、試験記録を改ざんして製品を出荷していました。

 

この不正行為は、2021年12月から複数回にわたり行われ、責任者レベルの指示によるものであることが判明しています。
富山県の調査により、キョクトウの問題行動が明るみに出たのはおととしのことで、2003年から2022年7月にかけて4つの製品に関する規則違反が確認されました。

 

キョクトウは、法令順守よりも製造と出荷の継続を優先する企業文化が、このような不適切な製造行為を助長した一因であると認め、再発防止に向けて取り組む姿勢を示しています。
また、問題となった「正露丸」のロットは2022年9月に自主回収されており、重大な健康被害の恐れはなく、健康被害の報告もないとされています。

(記事の要約、ここまで)

《この問題の推定原因と再発防止策》

「正露丸」といえば、ラッパのマークの大幸薬品が有名ですが、キョクトウもドラッグストアでよく見かけるので、馴染みがあり、この報道を知ったときに大幸薬品についても、少し調べました。今回の話題とは関係ないですが、大幸薬品は、原料メーカーを変更したことで、減産しているそうで、もしかしたら市場として、正露丸は品薄なのかもしれません。

 

それから、本題に戻ります。

あくまでも、推定原因ですが、キョクトウ株式会社におけるデータ改ざん問題は、ジェネリック医薬品メーカー特有の複数の制約が背景にあるのかもしれません。

以下、問題の原因と再発防止策をまとめます。

 

【原因】

1)経済的プレッシャー:
国が定める薬価制度により、ジェネリックメーカーは価格競争に直面し、薬価の低下により利益が圧迫されています。このため、コスト削減の圧力が品質管理の妥協を招く可能性があります。


2)遵法精神の欠如:
ジェネリックメーカーは新薬開発のコストをかけずに市場に参入するため、一部では遵法精神が希薄になりがちです。競争が激化すると、さらに規則を破る誘惑が増すかもしれません。


3)市場の過飽和:
特許切れ後の製品に多くのメーカーが参入することで、いわゆる「ゾロ製品」が増え、過剰競争が生じます。これが品質よりも量を優先する風土を生んでいます。


【再発防止策】

1)内部監査の強化:
定期的な内部監査を強化し、品質管理プロセスにおける透明性を高めることが必要です。独立した監査機関によるチェックを導入することも検討すべきです。


2)デジタルトラッキングシステムの導入:
製造から出荷までの各プロセスをデジタルで追跡し、データ改ざんを物理的に不可能にするシステムを導入します。ブロックチェーン技術の利用も一つの方法です。


3)法令遵守の徹底教育:
従業員に対する法令遵守と倫理規定の教育を定期的に行い、企業文化として徹底させることが重要です。違反者には厳格なペナルティを設け、公正な業務運営を促します。


4)適正な報酬体系の見直し:
ジェネリックメーカー特有の利益の薄さを考慮し、公正な報酬体系を構築することで、従業員のモチベーションを維持し、不正を抑制します。


これらの対策は、あくまでも、一般論ですが、組織内部に牽制が働き、ガバナンス強化に繋がるのではないかと思います。

 

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