個人的には、環境マネジメントシステム(ISO14001)の審査やコンサルティングに関わるようになって、久しい。
大昔は、サービス業における環境側面は、いわゆる事務所で生じる「紙ゴミ電気」系ばかり。
最近では、「環境側面」の考え方が世の中に浸透し、そのようなケースは少なくなりました。今回は、「運送業」について、環境側面(できるだけ業種固有のもの)や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《運送業における環境側面の事例》
・排ガス排出量
・燃料消費量
・ノイズ公害
・事故による油漏れや燃料の漏洩
・貨物の荷役、運搬中の廃棄物生成
・タイヤの摩耗
・車両のエネルギー効率
・ロジスティクスの最適化による移動距離の短縮
・冷蔵車の冷媒の使用とリサイクル
・車両の定期的な保守・点検
・交通渋滞時のアイドリング
・使用する潤滑油や洗浄剤の環境への影響
・エアコンやヒーターの利用によるエネルギー消費
・グリーン購入(エコカーなどの導入)
・エコドライブの推奨・教育
《有益な環境側面の事例》
1)ロジスティクスの最適化:
移動距離や回数を減少させることで燃料消費を抑え、CO2排出を削減。
2)エコドライブ: 燃料の無駄を削減し、排ガスの減少に貢献する運転方法。
3)エコカーの導入: 低排出ガスの車両や電気車の導入による環境への負荷軽減。
4)再利用可能な梱包資材の使用: 廃棄物の減少と資源の再利用の促進。
5)デジタル技術の活用: ペーパーレスを推進し、紙の使用を減少させる。。
《運送業に関連する環境法規制の事例》
◆排出ガス規制: 車両の排出ガスが国の基準値を満たすことが求められる。
◆騒音規制法: 交通騒音の防止や減少を目的とした法律。
◆エネルギー使用合理化法: 燃料の効率的な使用やエネルギー消費の削減を目的とした法律。
◆廃棄物処理法: 事業活動で発生する廃棄物の適正な処理やリサイクルの推進を目的とした法律。
◆再生可能エネルギーの導入促進法: 再生可能エネルギーを利用した輸送手段の導入や普及を支援する法律。
《運送業の緊急事態の事例》
1)オイルスピル(燃料や油の漏洩):
現場を安全に確保する(他の車両や歩行者から隔離する)。
漏洩したオイルを吸収材やバリアで囲む。
専門家や関連機関への通報。
洩れたオイルの回収と、汚染された土や水の処理。
2)化学薬品のリークや漏洩:
現場を安全に確保し、他の車両や歩行者から隔離。
できる限りの原因を特定し、止める。
化学薬品に応じた吸収材を使用してリーク部分をカバー。
事故情報を関連機関や専門家に通報し、必要な措置をとる。
3)事故による輸送物資の散乱:
現場を安全に確保し、関連する車両や歩行者から隔離。
ばらまかれた物質の特性や危険性を確認。
危険な物質であれば、関連機関への通報。
ばらまかれた物質の回収と処分。
4)排ガスの過剰放出:
車両のエンジンを停止。
排ガスの原因を特定し、修理のため専門家に相談。
車両の適切なメンテナンスを確保し、再発防止策を検討。
5)騒音公害(特に夜間など騒音規制がある地域での不適切な作業):
騒音の原因となっている作業や装置を即座に停止。
騒音を低減する手段を検討(例:使用する機器の変更、時間帯の変更など)。
住民や関連機関に事情を説明し、謝罪。
再発防止策を検討。
これらの緊急事態と対応プロセスは、ISO 14001:2015 の枠組みの下で環境管理システムを維持し改善する際に警備業務が対処する必要がある可能な事態を示しています。また、定期的なトレーニングとリハーサルを行うことで、実際の緊急事態に迅速かつ適切に対応できるようにすることが重要です。
以上が、「運送業」におけるISO14001に基づく環境側面、有益な環境側面、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。これらの事例は、具体的な対応策やプロセスを設定する際の参考として使用できます。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ873号より)
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