2024年4月19日付の神奈川新聞が、

『京急線の運転士、保安装置にヘアゴム巻き付け運転 「約1年前から…」装置の一つ作動させず』

という見出し記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

京急電鉄は2024年4月19日、京急線で運転士が不適切な方法で列車を運転していた事実を公表しました。
該当の運転士(48歳)は、4月5日の午後、浦賀発品川行き普通電車を杉田から京急川崎間で運転中、眠気防止のために保安装置が作動しないようハンドルにヘアゴムを巻きつけていました。この行為は定期巡回中の業務指導担当者によって発見されました。

 

運転士は「ハンドルから手が離れた際に保安装置が作動し、緊急停止するのを避けるため」としており、約1年間この方法で運転を続けていたことを認めています。この運転士は現在、運転業務から外されています。

 

京急電鉄はこの問題に対して、再発防止策を講じると発表しています。この事件は、鉄道の安全管理体制の重要性を再認識させるものであり、今後の対応が注目されます。

(記事の要約、ここまで)

 

京急電鉄は、現状の処置として、この運転士を運転業務から外す処置を取りました。

京急電鉄の利用者目線で考えれば、当然の処置です。

しかし、運転ルールを破り、保安装置(デッドマン装置)を無効化して乗務していた運転士に対する処置だけ、つまり、「この運転手だけの問題」として片付けては、京急電鉄の対策としては不十分なことは自明です。

京急電鉄、さらには、他の鉄道事業者が、今後、検討するべき再発防止策を考えてみました。

 

《京急電鉄(他の鉄道事業者含む)が検討すべき再発防止策》

京急電鉄(他の鉄道事業者含む)による再発防止策の検討・実施は、以下の点に焦点を当てることを検討するべきでしょう。

 

1)人間工学に基づくデッドマン装置の改善:

現行のデッドマン装置は長時間の使用において運転士に過度の疲労を強いる可能性が指摘されています。
握力が弱まると非常ブレーキが作動する設計は、特に長時間の運転では運転士に多大な疲労を与えるため、鉄道車両メーカーと議論して、スプリングの強度を調整するか、作動するまでの時間を延長するなど、運転士が持続的に快適に操作できるよう改良する必要があります。


2)運転士の健康管理と疲労回避の強化:

運転士の健康管理と疲労回避策を強化することが重要です。
航空業界のパイロットやCAのように、運転士も乗務前の健康状態や睡眠、体調管理を徹底する必要があります。また、運転士が十分な休息を取れるようスケジュールを調整し、長時間労働による疲労が蓄積しないよう配慮する必要があります。


3)心理的なサポートと教育の強化:

運転士がストレスや眠気に効果的に対処できるよう、心理的サポートを強化します。例えば、眠気を感じた際に安全に対処できるようにアラームシステムや疲労感知装置を導入することが考えられます。
また、非常ブレーキの作動後のペナルティが運転士に与えるプレッシャーを軽減するための教育も必要です。


4)技術的な改善と監視の強化:

ドライバーモニタリングシステムの導入を検討し、運転士の状態を常時監視することで、異常行動や疲労の兆候を早期に捉えることができます。
また、デッドマン装置の無効化を物理的に不可能にする設計変更も必要です。


5)文化と規範の変革:

企業文化として「安全第一」を徹底し、運転士が安全装置を無効にする行為を非難する風潮を払拭します。
安全装置の正しい使用を奨励し、運転士に対するサポートと教育を強化することで、安全意識を高めることが求められます。


これらの再発防止策は、運転士と乗客の安全を保障し、公共交通の信頼性を維持するために不可欠な対応策といえるでしょう。


 

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