個人的には、環境マネジメントシステム(ISO14001)の審査やコンサルティングに関わるようになって、久しい。
大昔は、サービス業における環境側面は、いわゆる事務所で生じる「紙ゴミ電気」系ばかり。
最近では、「環境側面」の考え方が世の中に浸透し、そのようなケースは少なくなりました。今回は、「倉庫業」について、環境側面(できるだけ業種固有のもの)や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《倉庫業における環境側面の事例》
・電気の使用(照明、エアコン等)
・燃料使用量(フォークリフトや機器)
・廃棄物の排出量(梱包材、廃棄物)
・排水量と品質(トイレ、厨房)
・化学物質の使用(防錆、消毒)
・騒音発生(機械、装置)
・大気への排出(トラックの排気ガス)
・地下水の影響(地下の倉庫建設時)
・地域との調和(大型トラックの出入り)
・生物多様性への影響(建設時の植生破壊)
・温室ガスの排出量
・土壌汚染のリスク(油漏れ、化学物質の漏洩)
・リサイクル可能な資材の利用
・エネルギーの効率化
・省水活動
《有益な環境側面の事例》
1)再生可能エネルギーの利用:太陽光パネルや風力発電を導入し、CO2排出量を削減。
2)高効率の照明の使用:LED照明を導入することで電気使用量を削減。
3)雨水の再利用:雨水を収集・浄化し、トイレの水や洗車水として再利用。
4)廃棄物のリサイクル:使用済みの梱包材や廃棄物をリサイクルし、新しい製品への再利用を促進。
5)省エネルギー機器の導入:省エネルギーのフォークリフトや機器を使用することで燃料使用量を削減。。
《倉庫業に関連する環境法規制の事例》
◆廃棄物の処理及び清掃の推進に関する法律:適切な廃棄物の処理とリサイクルを推進。
◆大気汚染防止法:大気の保護のための排出ガスの規制や基準を設ける。
◆騒音規制法:倉庫業の活動による騒音の発生を制限・管理。
◆化学物質の管理の促進等に関する法律:特定の有害化学物質の管理や情報開示を義務付ける。
◆水質汚濁防止法:倉庫業における排水の質を保持・管理。
《倉庫業の緊急事態の事例》
1)化学物質の流出や漏洩:
倉庫を速やかに封鎖し、人々を安全な場所へ避難させる。
漏洩した化学物質を特定し、安全データシート (SDS) に基づいて対応する。
吸収材やバリアを使用して漏洩部分を隔離・回収。
専門家や関連機関への通報。
2)倉庫内の火災や爆発:
速やかに火の手を遮断し、緊急脱出路を確保。
消防署や関連機関へ通報。
適切な消火器具を使用して初期消火を試みる。
人々を安全な場所へ避難させ、安全確認後に火元や原因の特定と再発防止策を検討。
3)有害な廃棄物の不適切な保管や処分:
不適切な保管場所から廃棄物を安全に移動。
関連法規やガイドラインに基づいて正しい処分方法を特定。
専門の廃棄物処理業者に連絡し、適切な処理を依頼。
倉庫内での廃棄物管理プロセスの見直し。
4)冷蔵・冷凍倉庫での冷媒の流出:
流出している場所を特定し、機器を停止。
安全データシート (SDS) に従い、適切な対応を実施。
専門家や関連機関への通報。
流出原因の特定と修復、再発防止策を検討。
5)電力過剰消費や資源の無駄使い:
不要な電気や機器の使用を停止。
電気や資源の使用状況を監視し、節約策を実施。
スタッフへの環境意識の啓発や教育を実施。
長期的な省エネ策や環境対策を検討・導入。
これらの緊急事態と対応プロセスは、ISO 14001:2015 の枠組みの下で環境管理システムを維持し改善する際に倉庫業務が対処する必要がある可能な事態を示しています。また、定期的なトレーニングとリハーサルを行うことで、実際の緊急事態に迅速かつ適切に対応できるようにすることが重要です。
以上が、「倉庫業」におけるISO14001に基づく環境側面、有益な環境側面、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。これらの事例は、具体的な対応策やプロセスを設定する際の参考として使用できます。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ873号より)
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