(※食品安全マネジメントシステム認証の移行について質問があったので、以下の記事を再掲します。)

 

ご承知の通り、認定機関(JAB、UKAS、RvA、ANABなど)から「食品安全マネジメントシステム認証」(ISO22000)に関する認定を受けている認証機関は、ISO/TS 22003:2013(旧基準)に基づいた ISO 22000:2018の認定からISO 22003-1:2022(新基準)に基づいたISO 22000:2018の認定へ移行する必要が生じました。

 

以下に、「ISO/TS 22003:2013からISO 22003-1:2022」への重要な変更点と「移行審査のポイント」を纏めてみました。

 

《ISO/TS22003:2013からISO22000-1:2022への主な重要な変更点》

1)規格の形式:

Technical Specification (TS) から International Standard (IS) に変更されました。

 

2)食品安全システム:

製品認証の適用が旧22003付属書Eから分化し、食品安全システム(Food Safety System:FSS)になりました。ISO 22003はFSMS(食品安全マネジメントシステム)の二規格構成(ISO 22003-1 / 22003-2)として初版が発行されました。

 

3)複数サイト組織:

複数サイト組織が明確に定義され、中央機能を持つと同時に同じシステムで管理することが要求されました。この新要求は、サイト毎の認証登録を示唆する形で、以前のマルチサイトよりも詳細な定義を提供します。

 

4)サンプリング数:

複数サイトのサンプリング数が見直されました。

特にCategory A / B(一次産品)はTS:2013より減少しました。また、食品製造と新設Category(C / D,H / I / J / K)はサンプリング未適用となりました。

しかし、Category E / F / G のサンプリングはTS:2013と同様に維持されています(20以下の場合は全サイトを審査)。

 

5)食品チェーンカテゴリ:

Food Chain Category(付属書A)がFood Chain Category, GFSI BRs 2020.1 Part 1 に基づいて更新されました。

特にCategory H / I / J / K(ペスト管理・包装材製造・施設製造・添加物製造)が追加されました。

 

6)審査の最低工数:

審査の最低工数の設定(付属書B)が見直され、基本現地審査工数が全体的に微増しました。

 

7)要員の力量要求:

要員の力量要求事項(付属書C)の数が増え、10から23に増加しました。これは、認証の品質を確保するために要員のスキルと経験をより詳細に要求するためです。

(重要な変更の纏め、ここまで)

 

《移行審査のポイント》

1)移行期限:

旧基準(ISO/TS22003:2013)から新基準(ISO22003:2022)への認定の移行期限は2024年12月31日であり、この日までに新基準に基づく認定の決定が行われていなければならない。この期限までに移行できない場合、認定は取り消される。2025年1月1日以降、旧基準に基づく認定は無効となる。

 

2)移行審査の時期:

認証機関は2023年8月31日までに移行関連文書の提出時期を通知し、JABは2023年9月1日から2023年10月31日までこれらの文書の提出を受け付ける。なお、ISO 22000:2018 の認定のみを有している認証機関の場合、移行関連文書の提出期限は2024年6月30日とする。

 

3)移行関連文書の提出:

移行審査申請時には、ISO/TS 22003:2013からISO 22003-1:2022への変更を網羅する差分分析資料、認証機関の移行または実施計画資料、新基準の要求事項が認証機関のマネジメントシステムに反映されていることを示す文書または記録、認証の移行計画等を提出する。

 

4)移行審査:

JABは文書レビューにより、システム文書変更状況を確認し、不適合があればその処置を行う。認定基準に新基準を含む認定が授与されるに先立ち、すべての不適合は解決されていなければならない。移行審査の結果に基づき、認定委員会が認定の移行に関する決定を行う。

 

5)認定移行後の対応:

認定移行後、本協会は新基準に基づく運用状況を確認可能な定期審査(事務所審査)にて当該運用状況を確認する。

 

6)新たに認定を申請する認証機関:

本要領書発行後の食品安全マネジメントシステム(ISO 22000:2018)に関する初回及び拡大認定申請の受付は、新基準に基づくもののみとする。

(移行のポイント、ここまで)

 

また、IAFから「ISO 22003-1:2022 への移行に関するIAF 基準文書」が2023年8月30日に発行されました。

※IAF MD 27:2023の参考訳がJABから公開されています。

https://www.jab.or.jp/files/items/common/File/IAFMD27_issue1.pdf

 

以上が、ISO/TS22003:2013→ISO22003-1:2022の主な変更点と移行審査のポイントです。

 

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ875号より)

 

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