小林製薬が製造した紅麹を用いたサプリメントを摂取して、健康被害が出ている問題について、最近の記事をもとに、以下に概要をまとめ、この問題について、考察しました。

 

《紅麹サプリ問題の概要》

2024年3月22日、小林製薬は紅麹成分を含む健康食品の摂取により腎臓疾患を発症したケースが報告されたと発表しました。

このため、同社は紅麹成分を含む3つの健康食品の自主回収と使用中止を呼びかけました。3月26日には、紅麹コレステヘルプを摂取していた患者が腎疾患で亡くなった事例があったことも公表されました。

これを受けて、厚生労働省は有害物質の疑いがある紅麹コレステヘルプなど3種のサプリメントに関して廃棄命令などの措置を小林製薬に通知しました。

 

この問題は、小林製薬が供給する紅麹の原料が日本酒や食品にも使用されていたため、供給先のメーカーにも自主回収を拡大。

これにより、紅麹を使用する他の企業にも影響が及び、風評被害が発生しています。

 

紅麹由来のサプリメントによる健康被害はヨーロッパでも2014年頃から報告されており、日本の食品安全委員会も同年3月に注意喚起を行っていました。

EUでは有毒物質シトリニンの基準値を設定するなどの対策が取られ、フランスでは摂取前の医師相談が推奨され、スイスでは紅麹成分製品の販売が違法とされています。

小林製薬の事件は、既知のリスクに関する対策の重要性を改めて浮き彫りにしました。

(この問題の概要、ここまで)

 

これまでの報道によると、小林製薬は、この健康被害についての公表が2ヶ月ほど遅れたようで、遅れたことで、健康被害が拡大したことが指摘されています。

「公表の遅れ」は、詮索すれば、株主総会対策や株価下落への供えなど、供給先や消費者よりも会社の利益を優先した可能性があり、企業倫理として、問題でしょう。

 

また、「機能性表示食品」について、安全性が担保される仕組みが弱いことも問題かもしれません。

「機能性表示食品」とは、「健康に与える効果(機能性)や製品の安全性の根拠」を消費者庁に届け出さえすれば「機能性の表示ができる制度」です。

企業側のメリットとしては、表示の文言について、企業が比較的自由に設定できるため、消費者への高い宣伝効果が得られます。

また、トクホ(特定保健用食品)と比較して、商品開発費用が格段に抑えられます。

 

しかし、特定保健用食品(トクホ)は、有効性や安全性について国が審議を行い、消費者庁長官が許可を与えた食品なので、安全性が担保されていますが、機能性表示食品は、「届出」なので、要は、企業の自主管理なので、安全性の担保・信頼性はトクホと比較すれば弱いです。

 

今回の報道で感じるのは、「紅麹自体が危険」という感覚に世間一般の認識が広がっていることです。

EUではサプリメントに含まれるシトリニン濃度の基準値が決められているそうですが、それは、ベニコウジカビの一部には「シトリニン」という腎障害などを起こす毒物を産生する株があるためです。

報道では、「小林製薬はシトリニンを産生しない株を使っている」とのことなので、ふつうに考えれば、「製造プロセスになんらかの異常が発生した」ことが、健康被害の原因です。

小林製薬が、今回の紅麹を使用したサプリメントの健康被害の原因と再発防止策をどのように調査し、公表するのか、注目したいと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ900号より)

 

 

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