個人的には、環境マネジメントシステム(ISO14001)の審査やコンサルティングに関わるようになって、久しい。
大昔は、サービス業における環境側面は、いわゆる事務所で生じる「紙ゴミ電気」系ばかり。
最近では、「環境側面」の考え方が世の中に浸透し、そのようなケースは少なくなりました。今回は、「旅行代理店」について、環境側面(できるだけ業種固有のもの)や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《旅行代理店における環境側面の事例》
・交通手段の選択(飛行機、バス、電車など)
・ツアー宿泊施設の選択
・旅行先の自然や文化的資源の利用
・旅行関連資料の印刷と配布
・オフィス運営(照明、エアコン、コンピューターなどのエネルギー消費)
・ツアーパンフレットや広告材の制作と配布
・ツアー参加者への環境教育やガイドラインの提供
・ゴミや廃棄物の管理(旅行先やオフィス)
・グッズやお土産の選定と販売
・旅行先の交通手段(レンタカーやバスの利用)
・オフィス用品の消費(文房具や紙類)
・通信インフラストラクチャの使用(インターネット、電話)
・顧客からのフィードバックやクレームの対応
・ツアー活動時の環境影響
・パートナー企業との連携時のリソース使用
《有益な環境側面の事例》
1)エコツーリズム:
旅行先の環境や文化を保護・支援するツアーの提供。
2)デジタルチケット・資料:
紙の使用を減少させるためのデジタル化。
3)公共交通手段の推奨:
環境に優しい公共交通手段の利用を促すプランの提供。
4)リサイクル可能な材料の使用:
グッズやお土産に再生可能な材料を使用。
5)環境教育:
旅行者に環境に優しい行動を促す情報提供。
《旅行代理店に関連する環境法規制の事例》
◆環境基本法:
この法律は、日本の持続可能な環境の形成の基本的な方針を定めるもので、旅行代理店もこの法律の下での環境対策が求められます。
具体的には、省エネルギー、廃棄物の削減などの環境保護活動を推進するための指針となります。
◆再生可能エネルギーの導入促進に関する法律:
日本国内でのツアーや宿泊施設における再生可能エネルギーの利用を推進するための法律です。旅行代理店は、再生可能エネルギーを取り入れたツアーや宿泊施設を推奨することで、この法律の精神を守ることが期待されます。
◆国立公園法:
旅行代理店が提供するツアーが国立公園や特別名勝などの地域を訪れる場合、この法律に基づく制約やルールがある。例えば、特定のエリアへの立ち入り制限や自然環境への影響を最小限に抑える行動が求められる。
◆廃棄物の処理及び清掃に関する法律:
旅行代理店が運営するツアー活動中に生じたゴミの適切な処理が求められる。特に、観光地でのゴミの持ち帰りや、適切な処理場所への廃棄が重要となります。
◆エコツーリズムの推進に関する取り組み:
日本政府はエコツーリズムの推進を行っており、その精神に基づき、旅行代理店も環境に優しいツアーや宿泊施設の選択、エコツーリズムに資する情報提供などの取り組みが期待される。
これらの法規制や要求事項は、旅行代理店が日本の自然環境や文化を守りながら、持続可能な旅行産業を推進するためのものです。旅行代理店は、これらの要求事項を守ることで、環境との調和を図りつつ、長期的にビジネスを続けることができます。
《旅行代理店の緊急事態の事例》
◆自然災害:
地震や洪水など。対応としては緊急連絡体制の確立や安全確保手段の検討。
◆ツアー活動による環境への損傷:
例えば、自然保護区でのルール違反。対応としては事前の環境教育やガイドの配置。
◆交通手段のトラブル:
交通機関の事故や遅延。対応としては代替手段の確保や旅行者への情報提供。
◆宿泊施設の問題:
施設の環境基準未遵守や突発的な問題。対応としては代替宿の提供や旅行者への説明。
◆旅行先での公衆衛生問題:
旅行先での感染症のアウトブレイクや水質汚染などの公衆衛生上の問題。
緊急事態に適切に対応するためには、旅行代理店として事前の計画や情報収集、状況把握が非常に重要です。旅行者の安全と満足を確保するとともに、目的地の環境や地域社会への影響を最小限にするための取り組みが求められます。
以上が、「旅行代理店」におけるISO14001に基づく環境側面、有益な環境側面、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。これらの事例は、具体的な対応策やプロセスを設定する際の参考として使用できます。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ869号より)
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