2024年3月19日付の読売新聞オンラインが、

『廃食油が今や「お宝」、航空燃料活用へ争奪戦…取引価格は1年で3倍』

という見出し記事を報じていました。

以下に、この記事を要約し、考察しました。

 

《記事の要約》

天ぷらや揚げ物の廃食油が次世代航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」の原料として注目されています。
SAFは持続可能な航空燃料の略で、廃食油や藻類などが原料とされ、燃焼時に排出される二酸化炭素(CO2)は原料の植物が光合成で吸収した量と相殺されるため、ジェット燃料に比べ排出量を実質的に減少させます。
2025年には国内でのSAF製造が始まる予定で、これに伴い廃食油の需要が急増しています。
廃食油の取引価格も急騰しており、盗難が相次ぐなど争奪戦の様相を呈しています。

 

地球温暖化対策としてのSAF需要は著しく、国際民間航空機関(ICAO)は2050年のSAF需要量が6億5000万キロリットルに達すると見込んでいます。
現在、国内で回収される廃食油の大半は家畜の飼料に再利用されていましたが、近年はSAF製造工場がある国への輸出が急増しています。

 

日本政府は2030年までに国内航空会社が使用する燃料の10%をSAFにする目標を設定しており、堺市では国内初の大規模製造プラントが建設中です。
しかし、SAFの原料となる廃食油の確保が課題となっており、家庭からの廃食油回収率を上げることが求められています。現在、家庭からの廃食油はほとんどが可燃ごみとして処理されており、分別回収する自治体は全国の約3割にとどまっています。

 

海外では、航空機の利用に対する規制が強化されており、フランスでは高速鉄道で移動できる航空路線の運航を禁止する法律が施行され、シンガポールはSAF税の導入を発表しました。
EUでも、2050年までに使用する燃料の70%をSAFにすることで合意しています。
このような国際的な動きと並行して、日本でもSAFの供給体制の整備が急務となっています。

(要約、ここまで)

記事にあるように、現在、家庭から排出される廃食油の大部分は可燃ゴミとして処理され、分別回収は、全国の自治体の約3割と言うことなので、国内SAFの一翼を家庭からの廃食油が担うような循環型社会形成のためには、回収システムを構築することが必要でしょう。

 

ただ、ペットボトル回収の際にも議論になりましたが、地域によっては、回収効率が悪く、「従来通り可燃ゴミとして処理した方が環境に優しい」ということも考慮して、この家庭からの廃食事油を原料とするSAF生産問題に、政府は取り組み必要があると思います。

 

航空燃料(ジェット燃料)について、今の「環境負荷」の考え方では、「燃焼時に排出されるCO2は、原料の植物が光合成で吸収した量と相殺されるため、ジェット燃料に比べ、廃食油や藻が原料のSAFは、排出量を実質8割削減できる」そうなので、「航空機にSAFを使用する」という点だけ捉えれば、「エコ」です。

しかし、環境問題は、ライフサイクル全体で捉えなければ、意味が無いので、

・廃食油を再生するコスト

・廃食油を再生する時に生じるCO2

・従来のジェット燃料生産で生じるCO2
などをトータルで考慮する必要があるでしょう。

月並みですが、私たちは、「どうしても使用する段階」での環境負荷に目が向きがちですが、環境負荷は、国や地域の特性や社会システムを考慮して考えなければ、「環境に盲目的」になり、ものごとを俯瞰して見れなくなることに注意が必要だと思います。

 

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