2024年3月16日に、北陸新幹線の金沢―敦賀が延伸開業しました。

以下に、3月16日付の共同通信社の記事を要約し、北陸新幹線の敦賀から先について、考察します。

《記事の要約》
北陸新幹線の金沢〜敦賀間が2024年3月16日に開業しました。

この開業により、東京から福井までの所要時間が最短で2時間51分に短縮され、従来の東海道新幹線と在来線特急を利用するルートより33分も速くなります。

この区間の開業は、1973年の整備計画決定から51年を経て実現し、新幹線ネットワークが福井県にも拡大したことを意味します。

首都圏と北陸地方とのアクセス向上により、沿線地域への観光客増加が期待され、特に能登半島地震からの復興支援にも寄与することが見込まれています。

 

敦賀駅では、「かがやき502号」の出発前に開業式典が行われ、JR西日本の長谷川一明社長が利用客の増加を期待する挨拶をしました。

また、金沢駅では、馳浩石川県知事が敦賀行きの一番列車「つるぎ1号」に乗り込む前に、震災復興への思いを込めた俳句を詠みました。新たな延伸区間は125キロメートルにわたり、金沢から西側に6つの新駅が設けられました。この開業は、2022年9月の西九州新幹線開業以来の大きな動きであり、北陸地方と首都圏との更なる結びつきを象徴しています。
(要約、ここまで)

 

首都圏から敦賀に乗り換えなしで、最短3時間8分で行くことができるのは便利です。

ただ、時間だけで考えると、従来の「東京→名古屋→米原→敦賀」(のぞみ、ひかり、しらさぎ)で、約2時間50分なので、時間的なメリットは、ほとんどありません。

つまり、延伸開業の物珍しさが終われば、首都圏目線だと、北陸新幹線に関しては、金沢開業の時のインパクトが大きく、今回の延伸は、「福井駅までは、メリットがあるかなぁ」という感じだと思います。

 

ただ、今後20~30年の間に必ず発生すると言われている東海地震、東南海・南海地震による東海道新幹線への影響を考えると、北陸新幹線の役割は重要だと思います。

そのように考えると、「敦賀から先は、いつ、京都(または米原)まで繋がるんだ」ということが、国民の関心事になりますが、敦賀から先の延伸は、さまざまな困難があるようです。

 

《北陸新幹線が敦賀から米原へ延伸された場合に生じる問題点》

この場合の問題点を整理すると、以下のようになります。

 

1)滋賀県の位置付けと影響:
滋賀県は短い区間であり、米原駅のみの改良で終わる可能性がある。
これにより、既存の「サンダーバード」や「しらさぎ」などの列車が廃止される恐れがあります。

 

2)利益配分の問題:
米原ルートを選択すると、北陸新幹線は短距離列車に限定され、米原から大阪間の収益はJR東海に渡る可能性があります。建設費用はJR西日本が負担する一方で、売上はJR東海が得るという不均衡が生じる。

 

3)技術的・運行的課題:
JR東海の信号や通信システムと北陸新幹線のシステムが異なるため、共用時には新たな設備が必要になります。
これに伴い、運行調整やメンテナンスに追加の時間と費用がかかります。また、東海道新幹線は現行のダイヤが密で、北陸新幹線との速度差による運行の遅延が懸念されます。

 

4)車両の問題:
JR東海の新幹線と北陸新幹線の車両は台車やブレーキが異なるため、共用する場合は北陸新幹線側がJR東海の車両タイプを購入するか、新たに製造する必要があります。

 

《敦賀から小浜経由で新大阪への延伸計画に京都の反対住民の声》

北陸新幹線は、現状は、敦賀から、小浜を経由して、京都に乗り入れ、新大阪までのルートが計画されています。

しかし、このルートについても、以下のような理由で、反対の声があります。

 

1)環境への影響:
敦賀から新大阪のルートの約8割がトンネル区間であり、京都府内を山岳トンネルおよび市街地の地下を通る計画です。このため、大量の残土処理、自然破壊、地下水への悪影響など環境への負荷が懸念されています。

 

2)文化的影響:
京都は歴史的な文化遺産が豊富な地域であり、トンネル掘削による地下水への影響が京文化を支える地下水へも悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

 

3)財政的負担:
建設費用が当初の2兆1000億円から、資材費や人件費の膨張により4兆円以上に膨れ上がると予測されています。沿線自治体の建設費負担も巨額に上り、人口減少社会での乗客数減少により採算が取れないことも問題視されています。

 

・・・このように、敦賀から先の北陸新幹線の先行きは不透明です。

延伸に掛かる建設費だけで捉えると、「米原ルート」が安いですが、以前の「国鉄」とは違い、現在は、分割民営化されている(JR東海とJR西日本)ので、各社の利益配分がネックになります。

また、「小浜ルート」は、トンネルが8割になると言われ、環境問題や建設コストの問題が発生します。

現実的には、現状の「敦賀-大阪」は「サンダーバード」、「敦賀-米原・名古屋」は「しらさぎ」という状態がしばらく続くのではないかと思います。

 

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