個人的には、環境マネジメントシステム(ISO14001)の審査やコンサルティングに関わるようになって、久しい。
大昔は、サービス業における環境側面は、いわゆる事務所で生じる「紙ゴミ電気」系ばかり。
最近では、「環境側面」の考え方が世の中に浸透し、そのようなケースは少なくなりました。今回は、「博物館・美術館」について、環境側面(できるだけ業種固有のもの)や法規制の事例を挙げてみたいと思います。
《博物館・美術館における環境側面の事例》
・照明によるエネルギー消費
・空調によるエネルギー消費
・ガラス清掃に関連する化学製品の使用
・展示品の保存・管理に関連する化学製品の使用
・展示の設置・撤去に伴う物質の消耗・廃棄
・展示資料の印刷によるペーパーコンシューマー
・ゴミ排出(訪問者からのゴミ、事務関連のゴミ等)
・運輸による排出ガス(展示品の輸送、スタッフの通勤等)
・水道水使用(トイレ、清掃、カフェ等)
・景観・地域の自然環境に対する影響
・歴史的建築物の維持・修復に伴う環境負荷
・音響設備による騒音
・特別展の設営による一時的なエネルギー消費増加
・デジタル装置の電力消費(インタラクティブ展示等)
・保存室の湿度・温度管理によるエネルギー消費
《有益な環境側面の事例》
1)LED照明の使用:
電力消費を大幅に削減できる。また、発熱が少ないため、空調への負担も減らすことが可能。
2)再利用可能な展示素材の使用:
再利用可能な素材を使うことで、物質の消耗と廃棄物の発生を抑制する。
3)デジタル化:
展示資料のデジタル化により、ペーパーコンシューマーを削減できる。
4)省エネルギー型空調設備の使用:
省エネルギー型の空調設備を使用することで、エネルギー消費を抑える。
5)雨水利用システム:
雨水を回収し、トイレや清掃に使用することで、水道水の使用を削減できる。
《博物館・美術館に関連する法規制の事例》
◆廃棄物処理法:
廃棄物の適切な排出、分別、収集、運搬、再利用、処分に関する法規制に準拠する必要がある。
◆水質汚濁防止法:
水道水の使用、排水の管理に関連する法規制に遵守する必要がある。
◆エネルギーの使用の合理化等に関する法律:
エネルギーの消費に関する法規制に準拠する必要がある。
◆騒音規制法:
音響設備の使用による騒音影響を考慮し、騒音規制法に遵守する。
◆文化財保護法:
歴史的建築物の維持・修復について、文化財保護法に基づく法規制を遵守する。
《博物館・美術館の緊急事態の事例》
◆化学製品の漏洩:
保存・管理に使われる化学製品の漏洩が発生した場合、適切な清掃と廃棄物処理が必要。
◆展示品の破損による汚染:
展示品が破損し、汚染物質が漏洩した場合、即時に封じ込めて安全に廃棄し、再発防止策を講じる。
◆大規模なエネルギー消費:
大量の電力が消費された場合、対策として節電対策を立てる。
◆水道水の大量使用:
水道水の大量使用が必要となった場合、雨水利用システムを使用した節水対策を立てる。
◆建築物の老朽化による環境への影響:
歴史的建築物の老朽化により、塗料や建材の粉じんが環境へ影響を及ぼす可能性がある。対策として定期的な点検と修復を行う。
以上が、「博物館・美術館」におけるISO14001に基づく環境側面、有益な環境側面、法的及びその他の要求事項、緊急事態の想定と対応手順に関する一部の事例です。これらの事例は、具体的な対応策やプロセスを設定する際の参考として使用できます。
マネジメントシステム構築や審査、指導の際の参考になれば幸いです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ866号より)
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