2023年10月28日付の毎日新聞によると、民間の調査結果で、「物流の2024年問題について、運転手の3割が、知らない」と回答したそうです。
ご承知の方が多いと思いますが、「2024年問題とは何か」、「ドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる可能性がある問題」について、以下に整理しました。
1)「物流・運送業界の2024年問題」とは何か
「物流・運送業界の2024年問題」とは、働き方改革法案によってドライバーの労働時間に上限が設けられることから起こる予想される問題の総称です。
具体的には、2024年4月からドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されるため、各ドライバーの走行距離が短縮され、長距離輸送が難しくなることが予想されています。
この結果として、物流・運送業界の売上が減少し、トラックドライバーの収入も低下することが懸念されています。
2)ドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる可能性がある問題
・一人当たりの走行距離の短縮:
労働時間の上限により、ドライバーが一日に走行できる距離が減少します。
・長距離輸送の困難:
制限された労働時間内での長距離の輸送が困難になることが懸念されています。
・物流・運送業界の売上減少:
輸送能力の低下や効率の悪化により、業界全体の売上が減少する可能性があります。
・トラックドライバーの収入減少:
時間外労働が制限されることで、ドライバーの収入が減少することが考えられます。
・物流遅延:
運送能力が低下することで、荷物や商品の遅延が発生し、ビジネスや消費者に影響を及ぼす可能性があります。
・ドライバー不足の悪化:
すでにドライバーの若手不足や高齢化の問題が指摘されている中、労働時間の制限による収入の減少が、さらなる人手不足を引き起こす可能性があります。
これらの問題は、物流・運送業界が日々の生活やビジネスを支える重要な役割を果たしているため、社会全体に影響を及ぼす恐れがあります。
《業界の現状》
年960時間が、時間外労働の上限なので、平均すると、1ヶ月の時間外労働は、80時間です。
仮に、月間労働日数を「22日」(4.3週)とすると、法定労働時間は、「週40時間」なので、月間22日勤務の場合の法定労働時間は「172時間(40時間×4.3週)」です。
1日の休憩時間を「1時間」とすると、22日勤務で22時間。
つまり、172時間(法定労働時間)+80時間(時間外労働の目安)+22時間(休憩)=274時間(法定拘束時間)となります。
厚生労働省のデータによれば、2021年度のトラックドライバーのうち3割強が、275時間を超えて勤務しているそうです。
したがって、計算上は、物流・運送業界と荷主(運んでもらう側、受け取る側)が、何も対策しなければ、物流の停滞やドライバー不足に陥るのです。
冒頭で、「ドライバーの3割が2024年問題を知らない」という調査結果を紹介しましたが、月並みですが、「2024年問題」は、運び手である物流・運送業界はもちろん、荷主の認識と意識改革・業務改善をしなければ、解決しない問題です。
個人レベルでも、ネット通販を利用しますが、宅配BOXの設置や置き配での配達を積極的に活用するという意識に変えなければ、物流の停滞は、顕著に出てくるでしょう。
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