信越化学工業は、日本国内の化学メーカーとして最大の時価総額および営業利益を誇る大手化学メーカーです。
ちなみに、塩化ビニル樹脂と半導体ウエハは、世界シェアが1位です。
信越化学工業の特徴として、「中期経営計画」を公表しないことが挙げられます。
つまり、信越化学工業は、具体的な数値目標は掲げず、外部公表したのは、「前年度からの増収増益」のみ。
この中期経営計画を公表しない経営スタイルが影響するためか、新年度に株価が下落する傾向があります。
この信越化学工業の「中期経営計画」を公表せず、結果を出し続ける経営スタイルについて、経営管理の一般論として「メリット」と「デメリット」を考察してみました。
《メリット》
◆柔軟性:
数値目標に縛られることなく、市場環境や業界の変化に対して柔軟に対応できる。
◆短期的な決定から自由:
具体的な数値目標に追われることなく、長期的な視点で戦略的な投資や経営判断を行うことができる。
◆経営資源の有効活用:
計画に対する報告や監視のためのリソースを、より生産的な業務に割り当てることが可能。
◆創造性と革新性:
数値目標に縛られず、より創造的なアイデアや新しい戦略に対するオープンなアプローチを促進することができる。
◆社員のモチベーション:
組織全体の「増収増益」を目指すという共有のビジョンを設定し、社員一人ひとりの裁量と責任を高めることで、モチベーションを向上させる。
《デメリット》
◆パフォーマンスの測定:
具体的な目標がないため、企業のパフォーマンスを正確に測定し、評価するのが難しくなる。
◆投資家とのコミュニケーション:
具体的な計画がないため、投資家に対して経営方針や将来のビジョンを明確に説明するのが難しくなり、信頼性を低下させる可能性がある。
◆無計画なリスク:
経営戦略の具体的な計画がないため、無計画なリスクを取る可能性が高まる。
◆社員の混乱:
具体的な目標がない場合、社員が何を目指して働くべきか、どの方向に進むべきかが不明確になり、混乱を引き起こす可能性がある。
◆株価下落:
短期的な投資家にとっては、中期経営計画の公表が期待されている場合が多いです。それによって投資判断をするため、その公表がない場合には不安や不確実性を感じる可能性があり、それが株価の下落に繋がる可能性があります。
これらは一般的なメリットとデメリットです。
つまり、具体的な影響は経営の実施方法や業界環境、会社の文化などによって大きく変わることがあります。
月並みな感想ですが、上場企業だと、投資家の顔色をうかがった経営スタイルに走る傾向がありますが、信越化学工業の場合は、手堅い事業を担っているせいか、「今年度も着実に業務をこなし、結果を出します」という姿勢も「あり」だな、と思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ857号より)
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