ISO認証審査において、認証機関が実施する審査で、しばしば話題に挙がるひとつに「一時的サイトの適切なサンプリング計画」があります。
IAF MD5:2019のおさらいになりますが、該当する要求事項は、「9.」項になります。
(規格より引用)
9.1 認証の申請者又は認証を受けた依頼者が、その製品又はサービスを一時的サイトにおいて提供している状況では、そのようなサイトは、審査プログラムに組み込まれていなければならない。
9.2 一時的サイトは、大規模なプロジェクトマネジメントサイトから小規模なサービス/据付サイトまであり得る。
このようなサイトを訪問する必要性及びサンプリングの程度は、QMSが製品又はサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価、又は EMS が環境側面及び影響の管理に失敗するリスクの評価又は OH&SMS が依頼者の運営管理に伴う労働安全衛生リスクの管理に失敗するリスクの評価に基づいていることが望ましい。
QMS及びEMSについては、選定されたサイトのサンプルは、活動の規模及び種類、並びに、進行中のプロジェクトの各種段階及びそれに伴う環境側面及び影響を考慮した上で、依頼者の認証範囲、力量の必要性及びサービスの多様性の範囲を代表していることが望ましい。
OH&SMSについては、選定されたサイトのサンプルは、依頼者の認証範囲、活動及びプロセスの規模及び種類、労働安全衛生リスクに含まれる及び関連する危険源の種類、及び進行中のプロジェクトの段階を代表していることが望ましい。
(引用、ここまで)
繰り返しになりますが、要は、
・一時的サイトがある場合は、審査プログラムに審査計画すること
・一時的サイトを訪問する必要性とサンプリングの程度を計画する必要がある
・訪問の必要性とサンプリングの程度の考慮事項としては、
-QMSが製品又はサービスアウトプットの管理に失敗するリスクの評価
-EMSが環境側面及び影響の管理に失敗するリスクの評価
-OH&SMS が労働安全衛生リスクの管理に失敗するリスクの評価
に基づくこと
・QMS/EMSは、審査する一時的サイトは、サービスの多様性の範囲を代表すること
例えば、
-活動の規模及び種類
-進行中のプロジェクトの各種段階
-PJの段階に伴う環境側面及び影響
-依頼者の認証範囲、力量の必要性
-OH&SMSは、危険源の種類と進行中のプロジェクトの段階を代表していること
である
ということです。
若干、複雑になるのは、「組織の認証範囲の活動に、複数の種類の製品・サービスがあり、かつ、それかの製品・サービスにさまざまな一時的サイトがある場合」です。
例えば、組織の認証範囲が、
“建築・土木構造物の設計施工、建築物の定期清掃サービス及び保安警備サービス、一般廃棄物・産業廃棄物の収集運搬”
だったとします。
この場合、製品・サービスの種類を、産業分類でざっくり捉えると、
・28建設
・35その他専門的サービス
・39その他社会的・個人的サービス
の3種類あります。
「認証表記」を軸に捉えると、
・建築工事
・土木工事
・定期清掃
・保安警備
・一般廃棄物の収集運搬
・産業廃棄物の収集運搬
と6種類になります。
さらに、MD5に規定されているように「サービスの多様性を代表していること」という観点で考慮すると、さらに、一時的サイトの選定における要素は複雑です。
つまり、MD5の規定を詳細に分析していくと、「一時的サイトの選定に関するルールは、結構、複雑な論理構成が必要」なのです。
「なんでもいいから、一時的サイトを訪問しておけば、いいんでしょ」というわけにはいかないので、結果論的には「適切な一時的サイトの訪問の実施」かもしれませんが、「MD5に基づいた計画管理」という観点では、認証審査における価値という観点で、少々、認証機関は知恵を絞って、理論武装をしておく必要があるのです。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ845号より)
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