ISO認証審査において、認証機関が実施する審査で、しばしば話題に挙がるひとつに「効率的でない審査計画や割り当て」があります。

 

ISO/IEC17021-1:2015のおさらいになりますが、該当する要求事項は、「9.2.2 審査チームの選定及び割当て」の「9.2.2.1.5」項になります。

 

(規格より引用)

審査チームリーダーは、審査チームと協議して、特定のプロセス、機能、事業所、分野又は活動を審査する責任をそれぞれのチームメンバーに割り当てなければならない。

このような割当てには、審査員、訓練中の審査員及び技術専門家の異なる役割及び責任とともに、必要な力量及び審査チームの効果的かつ効率的な利用を考慮しなければならない。

審査目的を確実に達成するために、審査の進捗状況に応じて、作業割当ての変更を行ってもよい。

(引用、ここまで)

 

つまり、この「9.2.2.1.5」の「必要な力量及び審査チームの効果的かつ効率的な利用を考慮しなければならない」がポイントになります。

一言で言えば、「チームリーダーは、審査が効率的に実施できる審査計画と割り当てをしなさい」ということでしょう。

 

事例として、以下を考えてみます。

 

“合計3人日の審査チームリーダーとメンバーの合計2人の審査において、「2人合同で実施した審査が6時間、チームリーダーが単独で実施した審査が6時間、チームメンバーが単独で実施した審査が3時間だった。”

 

この状況を「効率的でない」と一刀両断に判断するのは難しいでしょう。

ただし、一般論としては、

・初回・最終会議、経営者インタビューなどは合同で審査しても、通常は問題ない

・2人の審査員が組織の同じ部署を訪問しても、2人が別々のことを審査すればOK

・2人が同じ事項について1人が質問し、他の1人が書記をして交代しながら質問者と初期を担当している場合は、「効率的でない」と判断する

・・・となります。

 

昔話になってしまいますが、ISO認証制度が、日本で開始された1990年頃は、「ISO認証審査とはどうあるべきか」がわからなかったので、審査工数や効率は度外視で、みんなで審査をして、お互いの審査を見て、反省会を実施して、「審査とはこうあるべきものだ」と情報共有して、審査方法を確立していきました。

つまり、審査工数が4人日、つまり、2人×2日の審査であっても、4人で組織を訪問し、1チーム2人体制で、ペアになる人を時間帯によって変えて、みんなで、審査をしていました。

 

今の審査員訓練は、1回オブザーバーを経験したら、2回目からは、指導役の審査員の配下で、審査をいきなり実施(それを5回程度実施して審査員になる)するので、「審査とはどうあるべきか」が確立していない場合は、なかなか、審査員としての経験値を積むのが難しいです。

 

私は、品質、環境(ISO9001、14001)の審査員になった時は、認証機関の事務局にいたので、複数のベテラン審査員の審査に「オブザーバー」という名目で付いていったので、諸先輩の審査を直に見て、「いいとこ取り」して「自分の審査スタイル」を作ることができました。

しかし、今では、このようなゼイタクなやり方は、認証機関の管理職は部下に認めてくれないでしょうし、外部契約の審査員なら、なおさらで、要は「審査員になるのは大変だなぁ」と個人的には、思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ844号より)

 

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