ISOマネジメントシステム審査において、審査工数を算出する場合、議論になるのは、「無人サイト」の審査工数の算定手順です。

 

審査工数の決定については、ISO/IEC17021-1:2015では、以下の規定があります。

また、認定機関のJAB(公益財団法人日本適合性認定協会)が認証機関向けて出した通達文書(19-認シス第0105 号:複数サイトの組織が運用するマネジメントシステムの審査及び認証のためのIAF 基準文書(IAF MD 1: 2018)の適用について)では、以下の規定があります。

 

(以下、規格、JAB通達文書から引用)

9.1.4 審査工数の決定

9.1.4.1 認証機関は、審査工数の決定に関する文書化された手順をもっていなければならない。また、認証機関は、個々の依頼者について、依頼者のマネジメントシステムの完全かつ有効な審査を計画し達成するために必要な工数を決定しなければならない。

 

19-認シス第0105号

3.仮想サイトに該当しないサイトで、常勤者不在のサイトの審査工数

そのサイトに常勤しているか否か、専用席の有無などにかかわらず、そのサイトを認証範

囲に含める必要があるとする限り、そのサイトには担当する組織の機能、事業活動があり、

それに携わる要員が存在すると考えられる。したがって、この要員について、当該のサイ

トが担当する事業活動にかかる業務時間や、性質を考慮して、有効要員数を計算し、当該

サイトの審査工数を算出しなければならない。

(引用、ここまで)

 

「19-認シス第0105号の3.」では、要約すると、

・認証範囲に含める以上、常勤か否かに拘わらず、組織機能や事業活動は存在する

・機能や活動がある以上、それに携わる要員が存在する

・したがって、担当要員の性質を考慮して、有効要員数を算出して審査工数を計算しなさい

・・・

ということが述べられています。

 

したがって、認証機関では、「無人のサイト」を認証範囲に含めるならば、無人のサイトの有効要員数を決めて審査工数を算出することが求められています。

 

ちなみに、無人のサイトには、

・登記上の本社

・資材倉庫

・重機械ヤード

・産廃中間処理施設

・事務所、営業所(※多くは入札や営業上戦略上の理由)

などが一般的にはあり、通常、常駐社員はいません。

しかし、JABの通達では、「認証範囲にする限り役割とそれに対する責任者はいるはず」という考えです。

 

ただ、現実的には、登記上の住所は、社長の自宅で、営業所、事務所は、社員の自宅というケースが多く、資材倉庫も、建設現場の足場材や工事用カラーコーンなどの単なる保管場所で、電気が通っていない「プレハブ小屋」であり、該当環境法令や著しい環境側面はなく、業務上のリスクもほとんどないケースが多いです。

しかし、理屈上は、「無人サイトの有効要員数を決めて、審査工数算定プロセス」に組み込む必要があります。

 

このような場合の、審査工数算定としてよくある事例は、

・無人サイトの有効要員数を1人としてカウントし、工数算出する

(※工数の削減率は最大50%。50%を超えると認定基準違反)

・無人サイトの有効要員数をコンマ単位にして、工数を案分し、さらに削減率を考慮する

・無人サイトを本社や有人の支店の管理下のサイトとして一括りにして工数算出する

・・・

などがあります。

 

変な話しですが、うまく理屈を付けて正当な工数算定手順とすれば、結果論としては、無人サイトは、工数に大きな影響(全く影響しないケースもある)は与えません。

ただ、工数算定手順上、「全く無視」するのは、認定基準違反になるので、注意が必要です。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ836号より)

 

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