ISO認証審査において、認証機関が実施する審査で、しばしば話題に挙がるひとつに「ISO認証審査の目的と審査方法」があります。

 

ISO17021-1:2015では、以下の規定があります。

 

(規格より引用)

9.2.1.2 審査目的には、審査によって達成しなければならない事項を記述し、かつ、次の事項を含めなければならない。

a) 依頼者のマネジメントシステム又はその一部の、審査基準への適合の決定

b) 依頼者が、該当する法令、規制及び契約上の要求事項を満たすことを確実にするための、マネジメントシステムの能力の確定

c) 依頼者が、自身が特定した目的を達成することを合理的に期待できることを確実にするための、マネジメントシステムの有効性の確定

d) 該当する場合、そのマネジメントシステムの潜在的な改善の領域の特定

(引用ここまで)

 

上記に挙げた規格要求事項は、どれも重要なのですが、わかりやすい点から考えてみます。

9.2.1.2のa)では、「組織のマネジメントシステムの審査基準への適合の決定」とあります。

では、「審査基準への適合の決定」は、どのように認証機関の審査員は、判断するかと言えば、9.4.4.2で、

a) 面談

b) プロセス及び活動の観察

c) 文書及び記録のレビュー

と規定されています。

 

つまり、「聞き取り」、「業務遂行状況の観察」、「文書や記録の検証」等で、「審査基準への適合性」を判断するわけです。

 

例えば、ISO14001の審査において、法規制等に関して、審査員が、組織でエアコンが使用されている状況を見つけ、組織に定格出力と点検方法と記録の提示を求めた、それらが法規制(フロン排出抑制法)に則っていたとします。

 

さらに、事務所や工場を巡回して、廃棄物置場を見つけ、排出される廃棄物の種類や処分方法、委託処分業者との契約書、許可証の写し、マニフェストなどが適切に管理されていれば、実態としては、廃掃法の管理は「OK」です。

 

ただし、組織が環境マニュアル等の手順書で、「当社に該当する法規制等は、環境法規制登録簿で管理する」と規定しているが、「フロン排出抑制法」が登録簿に記載されていなかったとした場合です。

 

ある審査員は、「組織が、該当する法規制は法規制登録簿に登録し管理すると決めているのに、登録簿に記載されていないのだから、適合性に問題があり、指摘するべきだ」といいます。

 

一方、別の審査員は、「そもそも、法規制登録簿で管理すること自体が、組織の実態に合っていない。しかし、担当者は、実態として法規制に則って管理していることがわかったのだから、適合と判断するべきだ」といいます。

 

組織の状況によるので、前記した状況だけで、「どちらの審査員の判断が適切なのか」は、わかりません。

しかし、客観的には、「自分たちで規定していることをやっていない」状況について、組織に「自ら決めた現状のルールに合っていないこと」や「現状ルール通りに見直す」あるいは「他の管理方法に見直す」ことの必要性は、審査を通じて伝える必要があります。

 

審査員の懸念として「自分たちが決めたルール通りじゃないことを組織に指摘すると、実態と合わない管理を助長することになり、ISOマネジメントを組織は面倒なものとしてさらに毛嫌いして使わなくなる」ことを恐れています。

しかし、認証審査である以上、少なくとも、規格の重要部分、ISO14001でいえば、環境側面や法規制関係については、「自ら決めたことと実態の不整合」を指摘(指摘区分は別にして)すべきでしょう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ846号より)
 

 

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