IAF MD1:2018(複数サイトの組織が運用するマネジメントシステムの審査及び認証のためのIAF基準文書)では、複数サイトの組織に対する審査工数算定ルールが規定されています。
おさらいですが、MD1の「7.3 審査工数の計算」では、以下の規定があります。
(以下、MD1の7.3より引用)
(省略)
該当する場合は中央機能の要素を含む、選定されたサイト当たりの審査工数(6.1に従ったサンプリング、6.2に従った非サンプリング、又は6.3に従った組合せの方法のいずれかに関わらず)は、該当するIAF文書(例:品質及び環境マネジメントシステムのためのIAF MD5、統合マネジメントシステムのためのIAF MD11)及び必要に応じて適用されるセクタースキームの、審査工数算定のための要求事項を用いて、サイトごとに算出しなければならない。
(引用ここまで)
つまり、複数サイトの審査工数算定には、
・サイトサンプリングを使った複数サイト組織の審査の方法論
・サイトサンプリングが適切でない複数サイト組織を審査する方法論
・サンプリングできるサイトとサンプリングできないサイトの組合せを含む複数サイト組織の審査の方法論
の3パターンがある。
そして、
・IAF文書(IAF MD5やIAF MD11)及びセクタースキーム要求事項を適用して、サイトごとに算出しなければならない
と規定しています。
MD1の2.4では「複数サイト」の定義があり、
“単一のマネジメントシステムに含まれる組織であって、あるプロセス/活動の計画、管理を行う特定された中央機能(当該組織の本部である必要はない)並びにそのようなプロセス/活動を全面的に又は部分的に行ういくつかのサイト(常設、一時的又は仮想的)からなる組織。”
のことを「複数サイト」としており、つまり、物理的に「サイトが複数あれば複数サイト」といえるでしょう。
しかし、ご承知の通り、「サイトごとに審査工数を算定する」と、通常は、審査工数が増加するので、他機関との「顧客獲得」を考慮すると、認証機関は、できるだけ、審査に影響(例:審査時間が不足し、十分な審査ができない)を与えない範囲で、「単一サイト」として、審査工数を算定したいのが本音です。
そこで、「複数サイト(例:住所が異なる)ではあるが、単一サイトとして扱える要件」を例えば、以下のように規定(必須要件+追加要件の全てを満足、または一部を満足)しています。
〈複数サイトを単一サイトとして扱える要件の例〉
・サイト間の管理が遅滞なく管理できる(必須要件)
・サイトの主要工程を同一部門で管理している(追加要件)
・サイトの主要な部門が同一である(追加要件)
・拠点の管理者が同一である(追加要件)
・一方が他方のマネジメントプロセスの一部である(追加要件)
など
そして、この要件を適用した場合は、「その根拠を審査工数算定の記録として残す」ことが求められます。
個人的には、上記要件を確認するにあたって、物理的なサイトが複数ある場合は、サイト毎の活動を確認する必要があると思います。
具体的には、
・サイト毎の活動内容
・各サイトに従事する要員が所属する部門
・各サイトの管理部門
・各サイトの要員数
などです。
「各サイトの要員数」ですが、よく議論になるのは、「倉庫」、「営業拠点」、「作業者の詰め所」、「顧客(利用者)の利便性を考慮して開設している拠点」(例:デイサービス)等の要員数です。
これらのサイトにおいては、「常駐」ではなく、「本拠点とするサイトから従事者が訪問して業務を実施」することが通常です。
例えば、「倉庫」の場合、通常は、従事者がいないが、資材部門が、製品や資材の搬入搬出時や棚卸し時のみ従事者が発生します。
この場合、「要員数をゼロ」とするのではなく「管理部門や業務内容とそのサイトに従事する人(従事日数等で算出)」を調査して、明確にすることが出発点だと思います。
よく、こうしたサイトの要員数を「常駐者がおらず、通いで実施しているから0人」としてサイト情報を管理しているケースが多いですが、少なくとも「活動内容、管理部門、管理者、活動に従事する要員数」を調べておくことが必要だと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ840号より)
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