損害保険の不適切な請求問題で創業社長が辞任することになった中古車販売大手のビッグモーター。

今度は、「ロードサイドにある全国各地の店舗の前にある街路樹の多くが枯れている問題」が、発生しました。

 

このことについて、ビッグモーターのHP(インフォメーション欄)には、2023年7月28日付で、「当社店舗周辺における街路樹の原状回復について」と題したお詫び文が掲載されました。

 

《HPに掲載された枯れた街路樹に関するお詫び文》

(以下、概要)

当社の複数の店舗周辺で街路樹や植え込みが枯れているとのご指摘を受け、調査した結果、清掃活動で使用した除草剤が原因と思われます。
この影響でご迷惑をおかけした近隣の皆様や自治体に対し深くお詫び申し上げます。
当社では、行政の指導と外部専門家の意見を得つつ、土壌の入れ替えや植樹などを通じて、状況を改善する措置を行います。
また、他の店舗でも引き続き、街路樹の現地調査に全面的に協力し、原状回復を含めた対応を行います。この事態により混乱を招いた皆様に再度お詫び申し上げます。

(概要ここまで)

 

お詫び文を見ると、「世間様から指摘されるまで、街路樹が枯れるなどの被害を受けてることを、会社としては、全く知りませんでした」という体(てい)をとっていますが、実際は、そんなはずはないでしょう。

各メディアの報道では、「環境整備点検」という清掃管理の仕組みがビックモーターにはあり、環境整備点検で、雑草が見つかれば、こっぴどく叱られ、降格人事も頻繁にあったそうです。

したがって、環境整備点検で、問題が出ないように、除草剤をまいて、雑草を処理してしまおう、という行為を多くの店舗で実施していることを、経営層や幹部が知らなかったということは、常識的にないでしょう。

 

そう言われてみると、北海道や千葉県にあるビックモーターの各店舗は、車道の反対側車線や舗道から、めちゃめちゃ見通しがよいのです。

街路樹がなければ、走行中の車からの眺めはよく、店舗の視認性は高まります。

「除草剤により、街路樹が枯れていたのは、知っていたけど、店舗の宣伝効果も高まるし、メリットだらけ・・・」と、寧ろ、経営層や幹部は「黙認」していた可能性もあります。

 

中古車販売大手の「ビッグモーター」は、1976年に兼重オートセンターを立ち上げ、2005年に関西地区の老舗の中古車ディーラーである「ハナテン」に資本参加して、グループ傘下に収め、店舗網を拡大し、現在は、300店舗になっています。

私は、ビッグモーターの急拡大には、融資した「金融機関」の役割が大きいと思っています。

以下に、「ビッグモーターが急成長した理由と相次ぐ不祥事の理由」を挙げてみたいと思います。

 

《ビッグモーターが大企業に成長した主な理由》

a)店舗拡大戦略:
ビッグモーターは自社の店舗ネットワークを拡大し、規模の経済を追求しました。300店舗を展開することで、ブランドの知名度を上げ、大量の商品供給を可能にしました。

 

b)事業連携:
ビッグモーターは「ハナテン」など他の中古車ディーラーとの連携を通じて、商圏を拡大し、業績を伸ばしました。

 

c)一貫したサービス:
一つの店舗で車の売買からメンテナンスまでを一貫して行うことで、顧客に対して高品質のサービスを提供し、顧客満足度を高めました。

 

d)金融サービスの提供:
自社での融資やローンの提供など、金融サービスを提供することで、車の購入を顧客にとって容易にしました。

 

e)資金調達能力:
ビッグモーターは金融機関からの融資を活用し、自社の成長資金を確保しました。これにより、積極的な事業拡大を行うことが可能となりました。

 

《ビッグモーターの相次ぐ不祥事の原因》

a)企業文化:
組織の文化や価値観が適切に形成・共有されていないと、個々の行動が企業のイメージを損なう行為につながる可能性があります。

 

b)内部監査の不足:
内部のチェック体制が不十分な場合、不適切な行為が見逃され、問題が大きくなる可能性があります。

 

c)成長過程における規範意識の欠如:
急速な成長過程では、ビジネスの拡大に注力し、社員の倫理教育や規範意識の形成が後回しになりがちです。

 

d)利益追求の優先:
過度の利益追求は、適切な業務遂行を妨げ、組織内で不適切な行動を生む可能性があります。

 

e)コンプライアンス体制の不備:
不祥事は、しっかりとしたコンプライアンス体制が欠けていることを示しているかもしれません。これにより、法規制の遵守や社会的なルールに対する理解が不足している可能性があります。

 

私見ですが、ビッグモーターは、1976年に山口県岩国市で「兼重オートセンター」として開業したわけですが、金融機関のバックアップがなければ、「地元に根ざした中古車販売、車検、点検・整備のクルマやさん」だったと思います。

結果論ですが、組織体質をコンプラ体制にあまり重要度をおかずに、「会社の売上が伸びて、融資したお金が着実に利益をもたらして回収できればいい」と金融機関が資金的なバックアップをし続けてきたことも、今回の不祥事の大きな要因だと私は思います。
 

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