品質マネジメントとは、「組織の製品やサービスの品質を維持し、より向上させていく方針を仕事の仕組みに取り入れていくことです。

 

ISOマネジメントシステム規格では、ISO9001の2015年版から「品質マネジメントシステムを構築する上で重要な要素となる7つの原則」を定めています。

7原則の中に「原則7:関係性管理」があります。

「関係性管理」について、簡単におさらいしておきたいと思います。

 

関係性管理では、

「組織は持続的成功のために、例えば、提供者のような密接に関連する利害関係者との関係をマネジメントする」

と規定されています。

 

いわずもがなですが、「例えば、提供者のような密接に関連する利害関係者」とは、一般的には、以下の関係者を指します。

 

事例:顧客、株主、従業員、仕入先・外注先など購買先、周辺住民、政府・自治体、所属業界団体、金融機関、マスメディア

 

つまり、組織が顧客満足を目指す上で、事例に挙げた利害関係者との関係性をマネジメントすることは重要です。

極論ですが、顧客との関係性を重視しすぎて、仕入先との関係性が悪くなれば、「製品を欲しい顧客はいるのに、製品が作れない」という事態が発生するかもしれません。

また、騒音や悪臭などで、周辺住民との関係性が悪くなれば、マスメディアに取り上げられ、組織の評判が悪くなり、従業員のモチベーション低下や優秀な新卒や中途社員が採用できなくなるかもしれません。

 

したがって、組織は、

・利害関係者と対等な立場に立つ

・「顧客満足の追求」を目指しつつ、利害関係者全体の関係性のバランスを保つ

という考え方で、マネジメントをする必要があります。

 

では、組織を取り巻く利害関係者との関係を良好に保つためにはどうすれば良いのでしょうか。

これも、当たり前のことですが、「双方向のコミュニケーションを良好に保つこと」が基本です。

また、私見ですが、組織の繁栄は、「卵が先か鶏が先か」的ですが、「顧客満足」あってのことです。ただ、顧客満足だけの関係性を良好に保っても、前述したように、仕入先との関係性が悪ければ、モノは作れませんし、利益を株主や社員に適切に還元しなければ、優秀な社員はいなくなってしまうでしょう。

つまり、「利害関係者全体の関係性のバランスを保つこと」が重要なのです。

 

ちなみに、30年ほど前に、旧建設省の幹部(No.4クラス)と話したときに、「これまでの国の施策は、産業界を育てることに注力を注ぎ、仕事を分け与えてきたが、これからは、限られた予算を優れた業者が受注する時代にする必要がある」という趣旨のことをおっしゃっていました。

私の理解は、「国民が真に必要とするものよりも、産業界育成のために、仕事を作ってきたのが今までの政策」と当時、理解しました。

 

また、NHKの朝ドラ(2023年1月6日放送)を見ていたら、主人公の実家のネジメーカー「株式会社Iwakura」は、太陽光発電機のネジの試作を頼まれ、正式に受注が決まれば、100万個の生産が見込まれ、納期に間に合わせるために、見込み生産(※正式な発注を受けていない段階での生産)に社長(主人公の父)の判断で踏み切ります。

しかし、結果的には、太陽光発電機メーカーの設計変更により、試作したネジは必要なくなり、見込み生産を開始していたIwakuraは、経営危機に陥ります。

 

もちろん、ドラマですから、背景や経緯を省いている部分はありますが、「Iwakura」は、太陽光発電機メーカーにとっては「都合のよい会社」になってしまったわけです。

例えば、

・他社にネジの試作を発注していないか

・設計変更の可能性はないのか

・太陽光発電機メーカーの担当者のコミュニケーションは密で人間関係ができていたか

・・・

といった点をもっとマネジメントするべきだったのでしょう。

 

仮に、太陽光発電機メーカーが、Iwakura以外にネジの試作をさせていなければ、「納期に無理に間に合わせよう」としなくても、メーカーが、Iwakuraの生産能力に合わせて納期を再設定するはずです。

Iwakuraとしては「お客さんに迷惑を掛けたらアカン」という発想だったのでしょうけれど、この発想が、結果的に経営を窮地に追い込み、従業員全体の経済不安を招くことになったのです。

 

「関係性管理」ですが、製造業や建設業のコンサルティングをしているときに、「なるほど」と感じたのが、購買部門の徹底した取引先への発注量管理です。

私のような「外野」の発想では、例えば、「不良率の高い下請け」、「購買価格が割高な仕入先」は、「別の業者に変えたらどうか」となるのです。

 

しかし、購買部門長の方針は、「困ったときに仕事が頼めるように、これからも付き合っていきたい取引先には、年間の発注量を急激に減らすことは絶対にしない」という考えでした。

確かに、「不良率」や「割高な価格」については、品質管理面などの管理をしっかりすればいい話で、長い目で見れば、急激に発注量を減らし、即座に「切る」必要はないのです。

むしろ、そのような関係性で取引先と付き合えば、「信頼されていない」と感じ、別の取引先の仕事に注力し、いざという時に頼りにならないでしょう。

 

だらだらと、事例を挙げてみましたが、自社の「関係性管理は適切に保たれているか」という観点で、振り返ってみることは大事だと思います。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ836号より)
 

 

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