本コラムの読者は、ISOマネジメントシステム認証組織関係者や認証機関の方が多いので、認定機関が認証機関に対して実施する認定審査に関する規定には、あまり馴染みがないかもしれません。
今回は、認定機関が認証機関に対して実施する組織審査を立会する場合のIAFの規定(IAF MD17:2015)について、少し触れておきたいと思います。
IAF MD17については、JABのWebサイトから、参考訳が掲載されているので、気になる項目について、以下に概略を挙げてみます。
《認定の範囲を網羅するための立会いの利用に関する一般指示事項》
◆立会う審査の数、及びいずれの審査に立会うかを決定するときには、認定機関は、次のような要素を考慮しなければならない。
i. 認証機関の総合的なパフォーマンス
ii. 認証された組織が、MS の意図される成果を達成する能力を実証する能力に影響する、プロセスの複雑さや法規制などの要素
iii. 認証された組織に対する苦情を含む、利害関係者からのフィードバック
iv. 認証機関の内部審査の結果
v. スキームオーナーの要求事項など
vi. 認証機関の業務パターンの変化―ある特定の領域または専門分野における業務の増加
vii. 認証機関の認定範囲における依頼者の数
viii. 認証機関の審査員の評価及び承認のプロセスに対する信頼
ix. 以前の又は他の事務所審査又は立会い審査の結果など
立会い活動の選定のために、さらに次の要素が考慮される場合もある。
i. 発行された認証書の数
ii. 審査員の数
iii. 別の審査員
iv. 審査員は内部の要員かあるいは外部リソースか
v. 種々の審査、初回審査(第一段階/第二段階)、サーベイランスおよび再認証
vi. 複雑な依頼者、複合審査及び/又は統合審査、複数サイト審査
vii. 認証プロセスにおける審査が行われる国
viii. 以前の立会い活動の結果
ix. 苦情、カスタマーサーベイ
x. 利害関係者及び規制当局の要求
xi. 既に審査した専門分野のクラスター
xii. 別の種類の認定における 認証機関の経験
xiii. 認証機関がその業務を管理する能力に関する、過去の履歴
xiv. 認証機関が重要な活動に対して実行している管理のレベル
xv. 特定のスキームの要求事項
xvi. 依頼者との国内的な取り決め
◆認定機関は、認証機関がある立会いを拒否した(認証機関の依頼者からの拒否を含む)場合、それに対処するための方針をもたなければならない。
当該方針には、拒否に関する正当な理由が示されず、認定機関が受け入れられない(例えばセキュリティ上の立ち入り制限による、などの理由がない)場合、及び/又は拒否が申請/認定された範囲に関する網羅性を損なう場合に、認証機関に対して制裁措置を課することが含まれる。
認証機関の依頼者が 認定機関の立会いを拒否する場合、拒否に正当な理由があり 認定機関がそれを受け入れない限り、認証機関は制裁措置を回避するためには、既存の認定された認証を取消さなくてはならないか、あるいはまだ認証されていない場合には、認証機関はそれ以降に発行される認証書に認定ロゴを記載することが認められないことになる。
※筆者補足コメント
ISO認証組織は、上記の通り、基本的には、認定機関が認証機関に対して実施する組織審査立会について、受入を拒否することはできません。
仮に、「認定機関を受入するのが嫌だから他の認証機関に移転」しても、原則、その情報は、共有されるので、移転先認証機関で組織審査立会をすることになります。
ただ、日本の認定機関(JAB)においては、2020年1月以降、コロナ禍を理由にした「組織審査立会の受入拒否理由」は、原則的に容認されているようです。
個人的には、コロナ禍を理由にした受入拒否だから、コロナ禍が終息したら、認定機関は、再度、立会計画し、認証機関を通じて組織審査立会を実施するべきだと思います。
※MD17については、まだまだ、触れておきたい点が多いので、次週のメルマガでも触れたいと思います。
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