2023年6月17日付けの千葉日報が、「水槽に落下、作業員男性死亡 シアン流出問題の対応で新設 日鉄君津敷地内 千葉」という見出しの記事を報道していました。
以下に、この記事の概要、想定される事故原因と再発防止策を考察しました。
《記事の概要》
2023年6月17日に千葉県君津市の日本製鉄東日本製鉄所君津地区で、50代の男性作業員が液体を満たした水槽内で見つかり、4時間半後に現場で死亡が確認されました。
男性は協力会社の社員で、設備点検中に何らかの原因で転落したと見られます。液体には毒性がある疑いがあり、詳しい事故原因を警察が調査しています。
水槽は、長さ約6メートル、幅約2.3メートル、高さ約2.1メートルで、高炉の集じん水を処理するための設備であり、今年2月に稼働を始めたばかりでした。
《想定される原因》
(1)安全装備の不備または使用のミス:
例えば、安全ハーネスの不適切な装着や、滑防のブーツの着用漏れなど。
(2)疲労:
長時間または不規則なシフトによる作業員の疲労。
(3)作業場所の不適切な設計または整備:
滑りやすい床材、不適切な照明、不足した手すりなど。
(4)教育・訓練の不足:
作業員が危険認識を持っていなかった、または作業手順について十分に教育されていなかった可能性。
(5)緊急対応プロセスの不備:
助けを求める手段や、事故が発生した際の適切な対応手順が不足していた可能性。
《再発防止策》
(1)安全教育と訓練の強化:
作業員が危険を認識し、適切に対応する能力を向上させる。
(2)安全装備の使用の徹底:
作業員に適切な安全装備の使用を義務付け、定期的にチェックを行う。
(3)疲労管理:
作業員の勤務時間と休息時間を適切に管理し、過度な疲労が作業員の安全を脅かさないようにする。
4)作業環境の改善:
滑り止めの床材の導入、手すりや防護フェンスの設置、適切な照明の提供などを通じて、物理的な作業環境を安全にする。
(5)緊急対応プロセスの見直しと訓練:
事故が発生した場合の対応手順を明確にし、緊急時の連絡方法を強化する。さらに、これらのプロセスについて定期的な訓練を行い、全ての作業員が適切に対応できるようにする。
(6)定期的な安全監査:
作業環境やプロセスに潜在的なリスクがないかを定期的に確認し、必要な改善を速やかに行う。
ちなみに、東日本製鉄所君津地区は、ISOマネジメントシステム認証として、品質マネジメントシステムのISO9001、労働安全マネジメントシステムのISO45001を取得しています。
QMSとOHSMSの認証機関は異なりますが、認証機関がこの事故に対して、ISO認証についてどのような対応を取るのか、注視したいと思います。
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