本コラムの読者は、ISOマネジメントシステム認証組織関係者や認証機関の方が多いので、認定機関が認証機関に対して実施する認定審査に関する規定には、あまり馴染みがないかもしれません。

今回は、認定機関が認証機関に対して実施する組織審査を立会する場合のIAFの規定(IAF MD17:2015)について、少し触れておきたいと思います。

 

IAF MD17については、JABのWebサイトから、参考訳が掲載されているので、気になる項目について、以下に概略を挙げてみます。

 

《定義》

◆立会

審査の立会いとは 認定機関 が行う活動であり、それにより、認定機関 は、認証機関 の審査チームが行う審査を、干渉することも影響を及ぼすこともなく観察する。

立会いの目的によって、審査の全体を観察する場合もあれば、審査の関連部分のみを観察する場合もある。

立会いは、認証機関 の依頼者の施設において現地で行われるか、あるいは電子的手段による遠隔審査を観察することによって行われる。

 

※筆者補足コメント

ISO認証組織にとって、認定機関が認証機関に対して実施する立会審査を経験する機会は、殆どないでしょう。

細かい規定の話しは飛ばしますが、感覚的には、例えば、認証機関のISO9001の登録組織が1000社あったとすれば、認定機関が立会をするのは、1年に1~2社です。

したがって、組織の立場であれば、認定機関の立会を1度経験すれば、2回目は、ほぼないと思われます。

ただし、立会組織のサンプリングは、産業分野毎に行われるので、例えば、ある認証機関の分野38(医療)の登録組織が3社と少なければ、10数年間隔で、2回目の立会審査が発生する可能性があります。

 

◆ファイルレビュー

認定機関によって行われる活動であり、それにより、認定機関 は、関連する認証機関 の手順が順守され実施されているかを判定するために、ある特定の認証ファイルに関する記録及び文書をレビューし評価する。

これは、通常 認証機関 の事務所において、認証機関の適切な要員及び/又は審査員と共に行われるが、必要に応じて合意された場合には、遠隔で又は他の場所(例えば、認証機関 の

依頼者の施設)において行われる場合もある。

 

◆認定範囲

特定のマネジメントシステム規格及びそれに関連した部分、コード、分野、カテゴリー又は

専門分野であり、それに従い認証機関 は、特定の所在地における認定された認証を授与する。

 

《一般方針》

◆認定機関は、次の事項を含む利用可能な様々なメカニズムを利用することで、各申請/認

定された 認証機関の範囲を網羅するための方針をもたなければならない。

i. 事務所審査活動

ii. 立会い活動

iii. 特定された必要性に応じて 認定機関が定めた他の審査活動

 

※筆者補足コメント

上記のi.やii.は、いわゆる認定機関が認証機関に対して実施する「事務所審査」や「組織審査立会」ですが、iii.は、例えば、マーケットサーベイランス等を指します。

マーケットサーベイランスとは、認定機関が、マネジメントシステム規格に対して認証された組織に直接訪問することで、「事務所審査や組織審査立会」のように定期的ではなく、「必要に応じて実施」となっています。

では「必要に応じて」とは、どのようなケースかと言えば、

・認証機関の認証数に急激な変化が見られた

・認証機関の審査において、長期間にわたり不適合がほとんど提起されていない

といったケースです。

定期的な組織審査立会は、例えば、その認証審査がサーベイランスであれば、認証機関の審査が適切であった証拠は見つけられても、「適切ではない」という決定打は、見つけられません。

(その2に続く)

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ833号より)

 

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