ISOマネジメントシステム認証の業界では、「マネジメントシステム認証の価値が低下している」との議論がされるようになってから久しい。

実際、マネジメントシステム規格の新規認証で、増加傾向にあるのは、食品安全、航空宇宙、自動車(IATF)、情報セキュリティなどであって、あらゆる組織が導入可能なジェネラルな規格であるISO9001(品質)、ISO14001(環境)は、減少傾向です。

また、2018年に制定されたISO45001(労働安全衛生)も、業界が期待したほど、認証取得数は増えていません。

 

言わずもがなですが、認証件数の増減と「切っても切れない関係」は、組織の顧客、発注者、利害関係者の組織に対する認証取得要求やニーズです。

もちろん、組織によっては、「自社のブランド価値向上」、「信頼性向上」、「マネジメントシステムの改善ツール」、「第三者に定期的なチェックを受けることのより、仕事に対する気づきや自信を付ける」・・・などの目的から認証取得を目指し、維持する組織もあります。

しかし、「商取引上、取得していると有利に働くから」というのが、認証取得件数の増減の鍵を握る重要なファクターであることは、間違いありません。

 

過去には、2000年前後に、空前の「建設業におけるISO取得ブーム」が発生しました。

その理由は、国交省、都道府県、各自治体が、ISO適用工事や経営事項審査の加点対象として、ISO取得を要件にしたためです。

しかし、現在は、自治体により、要件は異なるものの、経営事項審査や工事評定点の加点対象として、ISO9001、14001、45001、27001はあるものの、「ISO45001は、非認定の認証でも可」とする自治体が多いようです。

 

「認定を受けた認証」と「非認定の認証」の「見た目」の違いは、前者は、認証機関が、認定機関(JABやUKASなど)の認定シンボルが付いた認証書を発行でき、後者は、「認証機関のロゴマークのみの認証書」しか発行できない点にあります。

 

中身的には、前者は、定期的に、認定機関が認証機関の認証プロセスを監査しますが、後者はありません。

また、前者であれば、IAF基準に則った審査工数算定が求められますが、後者は、任意に機関が決められます。

したがって、極論を言えば、ある組織の再認証審査工数が、4人日の審査があった場合、非認定の認証審査の場合、機関が「審査工数1人日で実施」することも可能なのです。

 

「審査工数が少ないから、しっかり審査していない」と言い切ることはできませんが、一般的に考えれば、マネジメントシステム審査は、そもそも「サンプリング審査」ですから、審査工数が、IAF基準に沿った認定された認証機関が実施する審査と比較すれば、非認定の認証審査は「チェックが荒くなる(ざっくりになる)」のは当然で、要は、「認証の信頼性が低い」と一般的には言えるでしょう。

 

こういったことを発注者(国、都道府県や自治体)は、ちゃんと理解してるのか不明ですが、認定機関や認定を持っている認証機関、あるいは、認定された認証機関から認証を取得している組織が、もっと積極的に、アピールして行くしかないのかもしれません。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ837号より)
 

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