ある組織から、「マネジメント文書をスリム化したので、チェックしてもらえませんか」という依頼がありました。

 

事情を聞くと、長年、実質的にISO事務局を担当していた方が定年退職したそうで、それを機に、社内から、「文書や記録を簡素化したい」という提案が上がったそうです。

また、認証機関からも、審査では常に口頭で「文書類のスリム化の検討」を勧められたそうです。

 

私は、かなり前に、何度か、内部監査研修会を担当したことがあり、その時に、組織のシステム文書をざっくりチェックして「重たそうですね」と感想を漏らしたことを社長が覚えていたようでした。

 

文書や様式をパラパラめくって、やや直感的に「重たい」と感じた部分は、全てにおいて、各詳細プロセスレベルで手順が決められ、それに対応した様式が作られていたことです。

例えば、教育なら、

〈様式の事例イメージ〉

・外部講習受講届兼受講報告書

・資格取得報告書

・教育計画年間計画表

・部門別教育計画表

・教育訓練有効性確認記録

・・・

といった感じで、100人弱規模の組織の割には、様式の種類が多い印象でした。

 

見直しされた内部監査について確認すると、関連様式は、

・内部監査計画書

・内部監査チェックリスト

・内部監査報告書

のみに改定されており、非常にシンプルです。

以前は、例えば、「内部監査チーム選定記録」、「内部監査実施通知書」といったものもあったので、かなり簡素化されていました。

 

また、内部監査で提起された不適合や改善の機会は、内部監査報告書に記載する仕組みで、是正処置などフォローアップは、様式を決めずに、部門長会議に報告し、会議議事録に残されていました。

 

私が「内部監査に関する記録は、とてもシンプルになりましたね」と後任のISO事務局担当者に伝えると喜んでいました。

ただ気になる点として、「内部監査報告書」に

・内部監査の目的

・内部監査での重点事項

・内部監査結果(システム全体の傾向等所見)

の記載がなかった点を指摘しました。

 

簡単にいえば、内部監査計画書は、単なる部門審査のスケジュールで、内部監査報告書は、指摘件数とその内容の列記が主な内容だったのです。

もちろん、比較的小規模な組織なので、口頭レベルで、監査の重点事項は内部監査員に伝えられ、社長には、内部監査全般の結果や感想、特に注意して監査した点の結果は報告されていると思いますが、記録としては、内部監査が有効かつ効果的に実施されていることを示すものが不足している印象で、フォローしてもらうことにしました。

 

小規模な組織で、社長と現場のコミュニケーションがよい組織の場合は、現実的には、社長は、組織の現状や実態を把握しており、内部監査は、「自分(社長)が承認した社内システムが有効に機能しているかどうかのチェック」という意味合いより、「内部監査を通じて、社員に他部門の仕事内容を理解させる」という教育の意味合いが強いでしょう。

しかし、ISO認証組織ですので、最小限の要求事項を満たせるように社内手順や様式は工夫しておく必要があるのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ827号より)
 

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