ISOマネジメントシステム審査の業界仲間と話している時に、「30年前と変ったこと」について話が盛り上がりました。
盛り上がった話は、一般的なことから、少しマニアックなことまでありますが、一般的なこととして、「文書類が電子媒体になったこと」があります。
ISOマネジメントシステム審査の黎明期である1990年代は、組織が認証機関の審査員に提示する文書、記録は、オール紙媒体です。
したがって、現地訪問前の文書審査では、組織は、マニュアルや手順書、主な記録類をキングファイルにファイリングして、郵送してきました。
セキュリティもうるさくない時代だったので、大量の文書類を鞄に入れ、電車の中や自宅に持ち帰って、会社に送られてきた文書類をチェックしました。
また、現地審査に訪問して、記録をサンプリングする際も、組織の記録棚に行って、ランダムに記録類を抜き取ってチェックしました。
余談ですが、一部の組織(多くの組織かも?)では、審査前に、日付を遡って記録を作るので、審査の際に、ハンコ欄を手でこするとインクが新しくて滲むことがよくありました。
嫌味になるので「最近作った記録ですね」とは、もちろん、言いませんでした。
手が込んだ細工をする会社は、半年前の記録を作る際に、「紙が変色していないのはおかしい」と考え、「わざと直射日光で変色した紙」を何十枚も用意して、変色した紙に印刷して記録を作った会社もあったようです。
それが、今の時代は、文書類の電子化とペーパーレス化が進み、現地審査前の文書チェック用資料は、電子媒体で送付(クラウド含む)され、現地審査でも、モニターに映し出されることがほとんどです。
紙媒体で文書を持ち運ぶことがなくなって、その点は便利ですが、紙資料は、3つ以上の文書や記録を並べてチェックするときに便利でした。
パソコン画面でも、画面分割はできますが、チェックするには2つが限界で、それ以上は、断然、紙の資料に軍配が上がります。
また、モニター画面での確認は、受審組織側に、主導権があるので、「あれ?」と思ったところがあっても、容易に戻りにくく、文書や記録名をメモしていても、こちらの事情を考慮せずにスクロールしまくるので、ストレスがたまります。
話題は少し変って、受審組織から、審査員の評価が高く、「できればまた○○さんに担当して欲しい」といったアンケート結果がある審査員には、
・専門性が高い
・話しをよく聞く
という特徴があります。
前者は、当たり前ですが、当社のプロセスを熟知していて、自社の改善につながる審査だった、という点で評価が高いのですが、後者の審査員は、よく観察していると、質問を1とすると、受審者側が5~10は話しているのです。
たくさん話しをさせるポイントは、「組織が普段のことばで話しやすい話題を振る」ことでしょう。
ISO規格を軸にすると、例えば、監視測定プロセスや継続的改善プロセスという言い方になってしまいますが、「クレーム件数の推移はどうなっていますか?」、「業務改善提案にはどのようなものがありましたか?」と聞けば、受審側は、思いの丈を延々と(話しが長い場合はどこかでうまく切らないとですが)話します。
つまり、審査員にうちらの苦労や努力を聞いてもらえた、ということが審査員の信頼に繋がり、「次の審査も担当して欲しい」となるのです。
それにしても、審査は、組織とのコミュニケーションがポイントなので、審査ツールの変化に対応し、相手の気持ちを汲み取ることが月並みですが、重要なのだなと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ828号より)
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