顧客満足度を計測、監視する手法のひとつとして、「アンケート」があります。

エンドユーザー(消費者)を顧客とする企業の場合、消費者から支持されているかどうかは、売上に直結するので、アンケート結果は、一般論として、顧客満足度の重要な指標と考えていいでしょう。

 

ただ、現代社会では、「企業の社会的責任」や「コンプライアンス」という要素を考慮する必要があります。

例えば、「非常に、顧客アンケートの結果が高い飲食店」があったといます。

しかし、その飲食店の味付けは、「人によっては、禁断症状が出るぐらいやみつきになる味」で、利用頻度が増えると、「肥満になりやすい」という傾向があるとします。

そのお店は、経営方針として、「食の安全と利用者の健康に資する企業運営を行う」ことを掲げていた場合、この状況をどのように考えればいいのでしょう。

 

・肥満になるのは、消費者側の自己責任である

・顧客満足が高いのだから、飲食店は、何も気にする必要はない

・消費者が、過度に店を利用して、健康を害するとしたら、無視できない問題だ

・飲食店として、「腹八分」など節度ある飲食を消費者に呼びかけるべきだ

・営利企業ではあるが、社会全体における飲食店の意義を考え運営するべきだ

・営利企業なのだから、法律に触れない限り、売上を追求すればいい

・・・・・

といった色々な考え方があるでしょう。

 

何が言いたいかと言えば、企業が社会の中での本来の役割を考えた場合、「アンケート結果で、顧客満足が高いから、“オールOK”と考えるのは、早急な判断である」ということです。

最終的に、この飲食店の事例で考えた場合、「今後、どのような経営方針、運営方針で経営の舵取りをするべきか」は、狭義の意味で適用法令に反しなければ、最終的には、企業が考えればいいのですが、その判断には、説明責任が求められる、ということです。

 

話題は少し変わりますが、私は、研修会講師やマネジメント規格の監査の仕事を委託で請け負うことがあります。

この際に、委託業務の発注元から「アンケート結果で評判いいですよ」と伝えられれば、悪い気はしませんが、逆に「みなさん(発注元)が期待するレベルの仕事はできていますかね?」と問い返します。

 

何が言いたいかと言えば、「アンケート結果」は、仕事に対する評価尺度のひとつに過ぎず、「いい仕事かどうか」は、「発注元が理想とする仕事が遂行されたかどうか」も重要な評価尺度だということなのです。

極端な例ですが、例えば、受講生が派遣元組織から「嫌々参加させられている」としたら、「研修会の課題を簡単にして、雑談多めの研修会」にすれば、アンケートは「話が分かりやすくてよかった」と評価が高くなるでしょう。

しかし、そのような研修内容では、おそらく、発注元や受講生を派遣した企業からは、「そんなユルい研修では困る」との評価になるでしょう。

 

当たり前な話ですが、「アンケート結果が高い=製品・サービスの質が高い」ではないことを(再)認識することが企業人には必要なものの見方・捉え方といえるのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ779号より)
 

【好評発売中!】

『事例で学ぶコンプライアンスⅠ』(トータルEメディア出版)

 

『できるビジネスマンのマネジメント本』(玄武書房)

https://www.amazon.co.jp/dp/4909566066/

 

【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓

(パソコンでアクセスしている方)

http://www.mag2.com/m/0000218071.html

(携帯でアクセスしている方)

http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html

Twitter:https://twitter.com/ariga9001