本コラムでは、何度か触れていますが、ISO9001:2015の「適用不可能」について、あらためて確認したいと思います。
まず、規格の該当箇条を下記に引用します。
(以下、ISO9001より引用)
4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定
(省略)
c)組織の製品及びサービス
決定した品質マネジメントシステムの適用範囲内でこの規格の要求事項が適用可能ならば、組織は、これらを全て適用しなければならない。
組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は、文書化した情報として利用可能な状態にし、維持しなければならない。
適用範囲では、対象となる製品及びサービスの種類を明確に記載し、組織が自らの品質マネジメントシステムの適用範囲への適用が不可能であることを決定したこの規格の要求事項全てについて、その正当性を示さなければならない。
適用不可能なことを決定した要求事項が、組織の製品及びサービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力又は責任に影響を及ぼさない場合に限り、この規格への適合を表明してよい。
(引用ここまで)
この規格の基本的な考えは、
・要求事項は、全て適用しなさい
・適用範囲は、文書化した情報として維持しなさい
・適用範囲では、対象となる製品及びサービスの種類を明確にしなさい
・適用不可能な要求事項は、正当性を示しなさい
ということです。
つまり、まずは、認証組織が、上記について、第三者に対して説明できるようにし、その状況を第三者(認証機関)が検証することになります。
一般的に、「適用範囲の文書化」は、品質マニュアルで明確にしてることが多いです。
この場合、「適用範囲」と「認証範囲」が異なる場合、規格では「適用範囲を明確にしなさい」とは規定していますが、「認証範囲を明確にしなさい」とは規格では要求していません。
そのため、認証機関によっては、「認証範囲の適切性の評価は審査報告書に記載している」と主張するケースが多いようです。
私見ですが、組織の説明責任として、「適用範囲と認証範囲が異なる場合」は、マネジメントシステム認証制度の考え方から、組織がまずは、明確に説明するべきで、できれば、品質マニュアルやマネジメントレビュー記録等で、組織は、適用範囲と認証範囲が異なる理由を明確にしておくべきだと思います。
次に、「対象となる製品及びサービスの種類の明確化」です。
これについては、組織のWebサイトでは、組織図や製品、サービス、営業品目などが記載されていると思いますが、組織の全て(組織図全体と提供する製品、サービスの全て)が対象の場合は、問題がありませんが、一部を適用範囲外としている場合は、識別ができる程度で、品質マニュアル等で明確にしておくべきでしょう。
なお、この場合も、適用範囲と認証範囲が異なる場合は、個人的には、まずは、組織が品質マニュアルや会議議事録等で、その理由を含め、明確にしておくべきでしょう。
そして「要求事項の適用不可能」についてです。
これについては、議論になるのは「8.3設計開発」ですが、今回は、この件は、割愛します。
私見ですが、この箇条を「適用不可能」にしたい(する)理由は、組織と認証機関の双方に「審査工数を軽減したい」との魂胆が大きいと思います。
要は、認証コストを少しでも抑えたい組織と他の認証機関との見積競争に勝つために、「適用不可能」にしているのが、本音だと思います。
今回は、別の議論として「適用はしているが事例がない」というケースです。
「設計開発」以外では、「7.1.5.2 測定のトレーサビリティ」や「8.5.3 顧客又は外部提供者の所有物」について、適用不可能、あるいは、適用しているが現在はない、という場合を考えます。
私見ですが、結論から言えば、「8.3」と違って、「測定のトレーサビリティ」や「顧客又は外部提供者の所有物」に関しては、「適用不可能というケースは、論理的にほぼ考えられず、現在は該当するものがないが、事例が発生した場合は、要求事項にしたがって管理する」というケースしかないと思います。
ただ、認証機関の立場としては、この「現在は該当するものがないが、事例が発生した場合は、要求事項にしたがって管理する」について、
・該当するものがないことが妥当であることの検証
・事例が発生した場合の手順の確立に関する組織内プロセス(責任部門)の検証
はしっかり確認しておくべきだと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ832号より)
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