食品安全マネジメントシステムだけでなく、「マネジメントシステム認証」における「現場審査」の意義を考えてみたい。
現場審査には、いくつかの役割がありますが、私見ですが「マネジメントシステム認証の信頼性」は、「訪問して現場で審査すること」により成立すると思います。
言わずもがなですが、マネジメントシステム認証は、製品認証ではありませんし、製品自体の優位性を保証するものでもありません。
審査の基本は、
・文書類の検証
・聞き取りによる検証
・業務そのものの観察による検証
で適合性を評価することになっています。
つまり、いくら「マネジメントシステム認証」が、「マネジメントシステム規格に対する適合性の審査」であるから、「手順とその手順を運用した記録や担当者への聞き取りが実施できていれば、認証OK」という性質ではありません。
要は、認証範囲の製品(サービス)の製造(提供)プロセスは、頻度を決めて、審査員が実際に確認しなければ、認証は認めてはいけないし、認証取得後も、ずっと確認していなければ、認証から外すなどの措置が必要だと思います。
食品工場に訪問すると、認証範囲に含まれている製品群の製造実績を確認しますが、季節性商品やそもそも受注量や需要が少なく、製造するのは年に1ヶ月程度という製品があることがわかります。
しかし、審査報告書を確認した範囲では、「現場審査の際に確認した製品群(審査期間中に確認できた製造プロセスと製品群)が何か、よくわからない」ことが多いです。
記録名は報告書に記載されていますが、「製造中の現場を見たときの記録」なのか「製造実績記録」なのかがわからないからです。
認証機関に対する関連する基準としては、例えば、以下があります。
(以下、規格の引用)
ISO/IEC 17021-1:2015 9.1.3.1
依頼者のマネジメントシステムが、選択した規格又はその他の規準文書の認証要求事項を満たしていることを、実証するために必要な審査活動を明確に特定した、認証周期全体に対する審査プログラムを策定しなければならない。認証周期に対する審査プログラムは、全てのマネジメントシステム要求事項を網羅していなければならない。
JFS-C認証プログラム文書 Version 3.0 5.2.2 審査の実施
2)認証機関は、以下に従って、審査頻度および審査工数を決定し、審査計画を立てなければならない。
② 審査頻度については、過去の審査履歴、規格の適合性に関する指摘事項、製品の季節性、製造能力の増加、組織体制への変化、製品技術の変化、製品タイプの変化を考慮して決定しなければならない。
(規格の引用ここまで)
つまり「審査プログラム」で、製品群の確認計画や実績を管理できるようにしなければ、「認証範囲の製品サービスの現場審査としては、漏れる製品群(サービス群)が生じる」でしょう。
審査プログラムでは、各回の審査対象部門やプロセス、要求事項は明確にされていますが、製品群までは、管理しきれていないケースが多いように思います。
規格上は「全てのマネジメントシステム要求事項」なので、「全ての製品群の現場審査が必要」とは規定されていません。
しかし、そもそも論で「マネジメントシステム認証の価値」を考えると、極論「一度も審査員が製造している場面を見たことがない製品群が認証範囲に含まれている」という状態は、「マネジメントシステム認証の価値」を低下させ、毀損することになるのではないかと思います。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ825号より)
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