2023年2月28日に、国会内の議員連盟で、「消費税のインボイス(適格請求書)制度問題を検討する会合」が開催されたそうです。
その会合では、全日本建設交運一般労働組合(建交労)軽貨物ユニオンの高橋英晴執行委員長が、インターネット通販大手企業の下請け会社が個人の宅配事業者に「インボイスの登録番号を出せないのであれば、契約を更新しない」との通知を出していると告発しました。
つまり、建交労軽貨物ユニオンの高橋執行委員長は、
・適格請求書が発行できないことを理由に、契約を切るのは、独占禁止法違反である
・公取や国税庁の現状の人員体制では、踏み込んだ調査ができないのではないか
と疑問を呈しました。
そもそも、日本のインボイス制度では、取引先との請求書や支払いに関する情報をデジタル化し、電子的にやり取りすることで、事業者の業務効率化や財務管理の向上、納税申告の簡素化を図ることを目的としています。
しかし、この制度にはいくつかの懸念点が指摘されています。
例えば、次のようなものがあります。
1.非対応の企業が多数存在する
インボイス制度は、法律で規定された一定の規模以上の企業にしか義務付けられていません。そのため、まだまだインボイスを発行する体制を整えていない中小企業や個人事業主などが多数存在し、全体的な普及に課題があるとされています。
2.システムのトラブル
電子的なやりとりに頼るため、システムのトラブルやハッキングなどのセキュリティリスクがあるとされています。また、インボイスを処理するソフトウェアの操作が複雑であるため、トラブルが発生しやすいという指摘もあります。
3.課税対象外の取引の増加
インボイス制度は、消費税の課税対象となる取引に限られています。そのため、課税対象外の取引が増加した場合には、その取引に対する税務処理が複雑になり、実質的な負担が増加するという懸念があります。
4.コストの増加
インボイス制度の導入には、システムの導入や運用にかかるコストが必要です。そのため、中小企業などには負担が大きく、経営に影響を与える可能性があるとされています。
議員連盟の会合で、訴えた建交労の髙橋執行委員長によれば、年間の売上が360万円で、所得が200万円の個人事業主の場合、簡易課税で約18万円になるそうです。
要は、約1ヶ月分の所得が、これまでより増えることになり、インボイス制度は、実質的に零細企業にとって「重税」なのです。
インボイス制度の導入により、「消費税は、全国民が等しく負担する間接税ですよ」と多くの国民が思い込まされてきました。
しかし、本当は、消費税は、事業者が支払う直接税なのです。
事業者の課税が増えれば、上流側(一般的には元請になる大手企業)は、価格に転嫁できますが、下流側(元請の協力会社や下請、孫請け、個人事業主)は、価格に転嫁することは、事実上難しく、インボイス制度で負担が増えるのは、下流側でしょう。
これまで、課税売上高が、1000万円を超えなければ、課税されず、課税分を請求額に転嫁しづらい零細企業の不満を抑えこんできましたが、インボイス制度の導入で、ついに、消費税導入時の財務省などの「悲願」が達成される制度なのです。
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