2023年3月28日に、「保津川下り」で、船の転覆事故が発生しました。
各メディアの報道を整理すると、この事故の概要は、以下の通りです。
・3月28日午前、京都府亀岡市から京都市の嵐山までの保津川を船で下る「保津川下り」の事故が発生した
・乗船していた乗客25人と船頭4人のうち、51才の船頭が死亡し、40才の船頭の男性が行方不明になった。
・乗客25人と船頭2人の27人は無事で、乗客9人が低体温症や打撲などを訴えて搬送されたが命に別条はない
・船頭を含め、全員が緊急時にひもを引っ張ると浮輪になるベルト型の救命具を着用していた
・川の水量は、安全規定水量(85センチ)を下回る69センチで、船頭の数も規定通りだった
・保津川遊船企業組合は、当面、船の運航について中止を決めた
・保津川遊船企業組合によると、船は午前10時40分ごろに乗船場を出発した
・約15分後、急流を下る途中で舵の操作ミスで岩にぶつかった後に転覆し、全員が川に投げ出されたが、27人は、自力で岸に上がった
・保津川下りは、約16キロの渓流を約2時間かけて船で下る人気の観光コース
・事故原因を調べるため、京都府警亀岡署と運輸安全委員会が調査を進めることを決定した
・保津川遊船企業組合の代表理事は、謝罪し、「なぜ事故が起きたのかしっかりと検証していく」とコメントしている
とのことです。
川下り事故は、過去にも、例えば、2011年8月17日に乗客や船頭5人が亡くなった「天竜川川下り船転覆死亡事故」が有名です。
この事故の背景と原因のポイントは、以下の通りです。
・事故現場は流れの激しい場所で、救命胴衣を着用させていなかった
・現場は川幅約55メートルの急流で、右にカーブし、左岸が岩場、右岸が河原
・左岸では岩場に向かう強い流れ、右岸では上流にさかのぼる反流が生じていた
・船首が右岸側に振られて180度旋回し、岩場に衝突し転覆した
・乗客が川に落ちた場合の対応や溺れている人を救助する安全訓練は年1回実施されていた
・船の転覆を想定した訓練は実施されていなかった
・転覆した際の救助手順などを定めたマニュアルもなかった
つまり、天竜川のケースは、結果論ですが、事故を振り返れば、「もしも」に対する備えが不十分だったわけです。
今回の「保津川下り」の事故は、現在の報道では、川の安全数量、船頭の数、救命胴衣の着用など、運行手順は守られていたようです。
主原因は「船頭の操縦ミス」だったとしても、「事故は、船頭の技量の問題だった」ということに帰結しない再発防止策をしっかり実施してもらいたいと思います。
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