2023年3月17日に、千葉県教育委員会が、臨時記者会見を開き、今春の県内の公立高校入試で、採点ミスがあったことを発表し、教育長は謝罪しました。

 

各メディアの報道によれば、採点ミスは、、県立高92校で870件、市立高6校で63件、計98校933件あり、誤って不合格としていた受験生は県立4校5人、市立1校1人の計5校6人だったそうです。

 

採点ミスの内容は、

・選択問題で正答を不正解とした

・小問や大問の集計の誤り

・配点や部分点の間違い

といった単純ミスがほとんどだったそうですが、1科目(100点満点)で、最大10点が加わるケースもあったということで、受験生毎、個別に捉えると影響は少なくなかったケースもあったようです。

 

再点検の結果、追加で合格となった生徒には、

・経緯の説明と謝罪

・入学許可候補者として扱うこと

・私立高への入学手続きを行っていた場合は、公立高への入学の意向を確認する

・入学金など実費の補償も含め、誠意をもって対応する

といった対応を図るそうです。

 

今回の「全校再点検」に至った発端は、合格発表後の3月8日に、県立小金高校で答案に対する「自己情報開示請求」があり、採点ミスが判明しました。

他の受験生にも複数科目で採点の誤りが認められたため、千葉県教育委員会は、全公立高に一斉再点検を指示し、その結果、採点ミスは全127校の77%にあたる98校に上ったそうです。

 

報道では、現在の答案の採点・点検手順は、マニュアルに基づき、複数回のチェックが行うシステムだったそうですが、このマニュアルの運用が適切に実施されていなかったわけです。

マネジメントシステム的に捉えると、

・マニュアルで決めた採点・点検手順にミスを誘発する手順があり、改善の余地があった

・採点担当者の点検・チェックがおざなりになっていた

・採点ミスを誘発しにくい答案書式に見直す必要があった

などの問題があったと考えるのが一般的でしょう。

 

千葉県教育委員会は、「これまでに公立高入試の採点ミスはなかった」と臨時記者会見で説明したそうですが、今回の一斉点検で、98校合計933件の採点ミスがあったことを考えれば、正確には、「これまでの公立校入試では、採点ミスの報告は受けていない」が、事実でしょう。

 

それにしても、小金高校で「自己情報開示請求」をした受験生(父兄)はアッパレですし、それを受けて、問題を矮小化せずに、県内の公立高校に採点の一斉再点検を指示した教育長も勇気ある行動です。

 

ちなみに、現在、神奈川県の公立高校は、「合格、不合格に関わらず全員に答案の写しと採点結果が返却される」仕組みがあるそうです。

マークシート方式など人による採点を止めない限り、神奈川県方式のような「答案返却方式」の再発防止策を千葉県も採用する必要があるのかもしれません。
 

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