2023年3月16日に、大成建設が、札幌市中心部で建設中の高層複合ビル(仮称:札幌北1西5計画)で、鉄骨の精度を示す数値を改ざんし、実際よりも精度が低い数値を発注元のNTT都市開発に報告していたことを発表しました。

工事は全体の約2割まで進んでいたため、地上部の全てを取り壊して建て直すことになりました。

 

このことから、建築部門のトップである専務執行役員と、常務施行役員の札幌支店長が辞任することになりました。この高層複合ビル(地上26階、地下2階)には、外資系高級ホテル(17~26階)や店舗、オフィスなどが入る計画で、完成予定は2024年2月(着工は2021年10月)でしたが、完成は、2年4ヶ月遅れる見込みです。

 

問題の発覚は、発注元のNTT都市開発の社員が鉄骨の精度の問題(ボルトが規定より小さいものが使用されていた)を発見し、調査した結果、鉄骨のずれや床・天井の厚みが規定よりも低い(鉄骨70か所で平均4ミリ、最大21ミリのずれがあったほか、床・天井のコンクリート245か所の厚みが規定より平均6ミリ、最大14ミリ薄かった)ことが判明しました。

 

大成建設の品質管理担当の社員は、“数ミリ程度の精度不良なら問題ないと考え、工期の遅れを恐れて数値改ざんを行った”と話したそうです。

 

一般論になりますが、施工会社の大成建設の再発防止策としては、以下が考えられます。

 

・品質管理体制の見直し:

現場での品質管理体制を見直し、適切な精度管理を行うことが必要です。また、定期的な監査やチェックを行うことで、数値改ざんなどの不正行為を未然に防ぐことができます。

 

・品質管理担当者の教育・研修:

品質管理担当者には、正確な報告と管理が求められます。数ミリ程度の精度不良も品質上問題であることを再認識させ、正確な管理を行うための教育・研修を実施することが必要です。

 

・コミュニケーションの改善:

工期やコストなどの問題が発生した場合、上層部との適切なコミュニケーションを行うことが大切です。現場での問題が発生した場合、適切な報告を行い、上層部が適切な指示を出すことで、問題を早期解決することができます。

 

・リスクマネジメントの強化:

品質管理に限らず、工期やコストなどの問題を想定し、リスクマネジメントの強化が必要です。リスクを特定し、そのリスクに対する対策を事前に考え、計画的な施工を行うことで、再発を防止することができます。

 

・報告体制の改善:

報告書の作成や報告内容について、より詳細な情報を提供することで、上層部がより正確な情報を得ることができます。

また、適切な報告書の作成方法や報告内容についての研修を行うことで、正確な報告を行うことができる体制を整えることが必要です。

 

報道では、今回の問題の発覚は、発注元のNTT都市開発が、現場で使用されているボルトが、規格と異なることを発見したのがきっかけです。

一般住宅で言えば、私たち施主が、建築中の住居を見学し、使用されている建材が、設計仕様と異なることを施工会社の現場監督や大工さんに指摘するような感じでしょう。

個人的には、施主に見抜く力があったことが、問題が発覚した一番のポイントです。

 

それにしても、施主が気づくような施工会社の不正を、設計監理会社は、なぜ、気づかなかったのでしょう。

施工会社である大成建設の再発防止策はもちろん必要ですが、施主(NTT都市開発)の立場で捉えると、設計監理会社にも再発防止策が必要でしょう。


 

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