2023年3月7日に、堺市で、自転車に乗っていた70才の男性が、柵に寄りかかった際に、用水路に設置された柵の支柱の基礎が外れ、1.5m転落して首の骨を折るなどの重傷を負いました。
柵には「立ち入り禁止」と書かれたテープが巻かれ、約1.2メートルの高さで道幅約3メートルの狭い道路に設置されていました。
この男性は、首の骨が折れる重傷を負い、集中治療室で治療を受けていましたが、現在は歩けるくらいまで回復したそうです。
用水路を管理していた堺市は、柵は30年以上前に設置され、定期的な点検が行われていなかったため、管理責任を認め、謝罪しました。
同様の事故が、島根県大田市にある石見銀山で、2023年3月8日に発生しました。
この事故では、観光客の北名古屋市在住の68才の女性が、木製の防護柵にもたれかかり、柵が折れて、4m下の川に転落して亡くなりました。
防護柵は2010年に設置され、腐食は、2021年4月に見つかり、修理が予定されていたそうです。
報道を見る限り、石見銀山のケースは、立入禁止を示すコーンが設置されていましたので、「なぜ、もたれかかったのだろう」と思います。
想像ですが、以前の日本なら、「さわるな危険」や「立ち入り禁止」などの表示があっても、「壊れる可能性があるから、予防処置的に立入禁止の表示をしているのだろう」という感覚が、多くの日本人が持っていたと思います。
要は、「さわれば壊れるようなアブナイ構造物が、街中に、あるわけがない」という感覚です。
石見銀山のケースは、「腐食がわかったのは2021年4月」だというので、「大田市は、2年近くも修理していなかった」ことになります。
一方、大阪堺市のケースは、完全に、堺市の用水路管理部門のミスでしょう。
柵は、用水路部門にとっては、「関連施設」ですが、点検マニュアルが作成されていなかったとすれば、そもそも、用水路管理部門の手順に不備があったと言うことですし、点検マニュアルはあったが、点検を実施していなかった、ということであれば、手順通り実施していなかったミスです。
月並みな感想ですが、少子高齢化、人手不足、税収減少・・・などにより公共施設や設備の管理が十分に機能していないのでしょう。
また、本来、組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)は、継続的に見直されるべきものですが、そこまでの余裕が各自治体になく、日々、目の前の仕事をまわすだけで、いっぱいいっぱいなのでしょう。
公共物のインフラの管理状況の劣化は、日本がゆっくりと貧しくなっている証左のように思います。
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