ヤフーニュースが「食肉処理で補助金 酪農家が困惑」という見出しのニュースを配信していました。
このニュースの元ネタは、2023年2月28日に放送された、毎日放送(MBS)の「よんチャンTV」内の『特集』。
この特集によると、
◆北海道のある牧場は、毎日1.75トンの生乳を廃棄(金額にすると役17万円)している
◆廃棄の背景は、コロナ禍で、学校給食と飲食店の生乳消費が減少した
◆物流コスト増加と円安の影響で、エサ代が高騰(約1.5倍)している
◆現状、余った生乳は、乳業メーカーが保存のきく脱脂粉乳にして在庫している
◆農林水産省の統計によると、2021年度は、在庫が約9万8000トンと過去最高水準になった
◆一方、国は1993年に妥結した協定に基き、乳製品を海外から輸入し続けている
◆乳製品の輸入量は、毎年度13.7万トン(生乳換算)に上る
◆農家から悲痛な声が上がる中、国は3月1日に新たな政策をスタートさせる
◆在庫対策として、酪農家が生産抑制に協力すると補助金を交付するというもの
◆乳牛を早期に食肉へと処理した場合、1頭につき15万円が支給される
◆生産の抑制を進める一方、国はこれまで正反対の政策を行ってきた
◆2014年にバターが不足したことから、国は生乳生産量の引き上げを推奨した
◆乳牛を増やすことや牛舎の拡充などに対して補助金を交付してきた
◆酪農家は、二転三転する政策に翻弄されている
・・・という現状だそうです。
この報道の中にあった「1993年の協定」とは、「GATTウルグアイ・ラウンド農業交渉の合意」のことです。
この合意に基づき、1995年度以降、国内の需要動向に関係なく、海外から輸入枠の上限となる13万7千トンの乳製品を今も輸入し続けています。
しかし、「13万7千トン」は「輸入枠の上限」であって、「乳製品の輸入を義務」としたものではないそうです。
したがって、本来は、1993年の合意で、「国内需要量の○%を輸入する」といったように、国内需要に合わせた協定にするべきだったのでしょう。
また、政府は、関係国と調整して、国内情勢を説明し、現在の「毎年度13.7万トンの輸入量の削減の見直し」を調整するのが、本来、やるべきことでしょう。
日本の酪農家には、事実上の廃業を迫り、消費者には、円安で割高になった海外の乳製品を買わされているとしたら、政府のやっていることは、日本の国益を大いに失わせるものです。
バブル崩壊後の日本は、私たちが気づいていないだけで、このような国益に反する政策がたくさんあるのでしょうね。
なぜ、このような不平等な合意を見直しせずに続けてきたのかを検証するとともに、政治家が、主導して、官僚に大号令を掛けて、「現在の国内事情の実態に合わない協定や政策を」をどんどん見直してほしいものです。
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