かつて、昭和天皇も宿泊された福岡県筑紫野市の老舗旅館「二日市温泉 大丸別荘」が、公衆浴場法に基づく「週に1回以上必要な大浴場のお湯の交換」を「年に2回しか行っていなかった」という報道がありました。
2023年2月24日のマスメディアの報道では、
◆大丸別館は、保健所に、抜き打ち検査を実施された
◆浴槽から、基準値の最大3700倍の「レジオネラ属菌」が検出された
◆福岡県の条例では連日使う循環浴槽は全てのお湯を週1回以上入れ替える規定
◆大丸別荘は、お湯を交換する頻度を虚偽申告していた疑いがある
◆虚偽深刻であれば、福岡県は公衆浴場法に基づく罰則の可能性も検討している
◆大丸別荘は、メディアの取材に対し「社長が不在のため対応できない」と話している
・・・とのことです。
それにしても、大丸別館は、SNS隆盛の時代に、なんたる時代錯誤な旅館運営なんだ、とこの報道を知った時は、感じました。
2000年代半ばに「偽温泉騒動」や「レジオネラ菌による死亡事故」が報道で、話題になったことがありましたが、今の時代、当時と同じような事件・事故が発生すれば、もっと大騒ぎになり、老舗旅館といえども、経営が成り立たなくなる可能性が大きいと思います。
そういったことを、経営陣はもちろん、スタッフもしっかりと認識していれば、こんなずさんな浴場管理はできないはずです。
もしかしたら、あまりに酷い管理実態を知った元従業員などが、保健所に情報提供して発覚した問題かもしれません。
ちなみに、国立感染研究所 感染症情報センターのHPデータに依れば、1999年~2019年に、レジオネラ症に感染した人は、のべ15、986人。
そのうち、死亡者は、847人です。
温泉ブームの影響もあるのかもしれませんが、2000年代半ばぐらいから、死亡者数は、年間40~70人程度ですが、感染者数は、右肩上がりで上昇し、2011年は、1111人、2019年は、2314人が感染しています。
それと、今回、この報道があって、あらためて、「源泉掛け流し」と「循環型」について、少し調べましたが、いずれのケースも、公衆浴場法では、週1回以上の入れ替えが必要だそうです。
おさらいですが、「掛け流し温泉」とは、「循環していない源泉そのままの温泉を浴槽に流し、あふれた温泉を再利用しない」方式の温泉をさします。
世間一般では、「循環風呂の方が掛け流し風呂よりレジオネラ菌の危険性が高い」イメージです。
しかし、「レジオネラ菌」は、温泉の中で増殖する菌ので、掛け流し風呂であっても、浴槽を空にして、清掃(湯の交換)をしなければ、レジオネラ菌は繁殖するそうです。
つまり、「循環風呂」であっても、「塩素」などで、毎日殺菌していれば、レジオネラ菌の量は、循環風呂の方が、数値が低いかもしれません。
(※塩素殺菌により、温泉の良さが失われ、塩素臭がするというリスクはあるかもしれません)
それにしても、私たち温泉利用者は、通常は、運営側が、法令順守していることを信じるしかありません。
しっかりした運営をしている温浴施設は、浴槽の清掃記録や紹介ビデオなどで、安全性をアピールして、差別化することが必要かもしれません。
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